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15分という短い時間の中、河野から
貴重な話を聞けた気がする。
会長の反対派がいる事実と、
血縁者は距離を取り、身を潜めている事。
血狂いの為に、顔が変わっちまう事も。
そして乾さんからの事実も、
手土産として持ち帰った。
血を吸い尽くす程に狂うレベルは、
稀に存在するという事。
河野が、その一人だった。
歯止めが効かないところまで達し、
止める者もいなかった為だ。
大半は、“血狂い”を上手く受け入れ、
適応しながら過ごしているという。
その事情を踏まえて考えてみると。
協会に所属する吸血鬼たちは、
血の捕食を無理なく確保できる反面、
本来の力を発揮できず困っている。
所属しない反対派の吸血鬼たちは、
血の捕食に制限がなく
力を持つ事が出来るが、血狂いが発生して
正気を保つことができない。
どちらにしても······
吸血鬼としての、本来の姿には
程遠いという事だ。
何だか、肩身狭いな。俺たちって。




