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俺は、河野と向かい合うように
椅子に座った。それが嬉しかったのか、
優しい笑顔を見せてくれた。
心から、笑ってるのが分かる。
俺も、嬉しい。
「何でも聞いて。力になりたいんだ。」
「······お前の両親、どうしてるんだ?」
一番気になったところだ。
「パパの顔を見たことは、一回もない。
ママは、最低限の事はしてくれたと思う。
僕が中学生になった後、
家には帰って来なくなったけど。」
「······何だよ、それ。
じゃあお前、一人暮らししてたのか?」
「うん。別に、寂しいとは思わなかったよ。
それが普通だと理解していたから。」
······
“それが普通”。
純血にとっての、普通って。
俺には、考えられない。
 




