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8−4
放課後、帰る準備をしていると
杏奈が近寄ってきた。
慣れってすげーな。
クラスメイトたちはもう、
俺たちが話していても冷やかしたりはしない。
付き合ってんの、公認という事だ。
「朔耶、ごめん。ゆうなたちと
遊ぶことになって······一緒に帰れないかも。」
ちょうどいいかも。
今日は杏奈がいない方が、いいかもしれない。
声のトーンを下げて、俺は伝える。
「了解。俺も協会に寄るから。
······乾さんに呼ばれてるのもある。」
隠さず、正直にな。
「えっ······そっか······
自分も、行きたいかも······」
「何で呼ばれたのか、後で話すから。
気にせず遊んでこい。」
「······うん。
分かった。ごめんね。」
謝らなくていいのに。
お前はホントにかわいいな。
家に帰ったら、たくさんナデナデしちゃお。




