226/650
8−1
思いふけって昼ご飯を食べていた矢先、
スマホの通知バイブが。
乾さんからのメールだった。
《お時間の都合がつきましたら、
是非協会までお立ち寄りください。》
ちょうど今日の放課後、
協会のジムに行こうと思っていた。
ちらっと、杏奈がいる席へ目を向ける。
彼女は、友だちと楽しそうに
お弁当を食べながら話していた。
学校生活では、付き合っているのかと
疑問に思うくらい、関わらない。
でも、それがいい距離感だった。
お互いに、自分のペースと
過ごす時間は違っている。
交友関係も、好きな時間も。
それが理解できているから、俺たちは
うまくいっている。
バディ関係も、良好だ。
“まだ一ヶ月”と焦るのか、
“もう一ヶ月”と受け入れるのか。
今の俺からすれば、後者だ。
赤い目も、思うように
コントロール出来ている。




