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「結局のところ、朔耶を囮にして
危険な目に遭わせてしまったなって······
かなり、反省しています。」
いや、杏奈。
お前は、よくやったと思う。
俺が、クソなだけで。
「悔やむよりも、今後どうしていこうと
考える方が、プラスになるよ。」
「······はい。そうですね。」
「確かに今回の件は、
運が良かったとも言えるかもしれない。
だけど、それも力の内うちだよ。」
ダンディ、かつ完璧なフォロー。
やっぱ親父は、カッコいい。
見習おう。
「······河野くんは、血に狂って
まだ日が浅かった。ニュースになるような
目立つ行動をする吸血鬼は、
ほぼいないと考えていい。
レングラント夫妻を死に追いやった、
吸血鬼も。身を隠すようにして、
捕食しているのが現状だ。」
えっ。
と、いうことは······
「河野は、杏奈の両親を殺した吸血鬼とは
結びつかないって事か?」
「そうだ。大半は、
狂っていると自覚した上、
密かに身を潜めて過ごしている。」
なるほど、な。
······ん?いや、待て。そうなると······
 




