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「ちょっと痛いけどね······えへへ。
でも朔耶の方が、もっと痛かったでしょ?
······あの時は、ごめんね。」
謝んな。
「今度からは、きちんと教えてよね?
自分も、頼りにできるくらい頑張るから。」
俺の方が、何も出来なくて、
助けられて。ダサすぎんだろ。
気づけば、杏奈の手を取っていた。
断りも入れず、傷口を舐める。
「ひゃっ、ちょ······んんっ」
床に落ちた血も、舐めたいくらいだ。
「さく、やっ······」
「少しだけ、我慢しろ。」
身を張って行動するお前には、
一生かけてでも、敵わない。
こんな事しか、出来ない。
「んふっ、も、もう、大丈夫だよぉ······」
「傷口塞ぐまで、ダメだ。」
甘い、杏奈の血。
俺にとって、極上のメインディッシュ。
一滴たりとも、残さない。




