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「朔耶さま。後の事はお任せください。
落ち着いた頃に、お知らせ致します。
······それでは。レングラント嬢の手当てを、
お願い致します。」
それだけ言い残して、河野を担いだ乾さんは
部屋を出ていく。
一体、何が、どうなったのだろう。
「······朔耶。ごめんね。」
小さく響く、彼女の声。
「きっと朔耶は、自分の為を思って
一人で行動すると思った。だから、
会長と乾さんに話して、裏で行動してたの。
······言ったでしょ?
一人で行動しちゃダメだって。
同士討ちしたら、朔耶が不利なのは
分かっていたんだから。」
杏奈。
「これが、正しい短剣の使い方なの。
自分の血を破邪の武器に変える。
聖水、みたいな感じかな。」
俺、なんてカッコ悪ぃんだろ。




