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次の瞬間、俺は何が起こったのか
分からなかった。
気づけば、河野から馬乗りされ、
片手で首を掴まれていた。
その抑制に、当然ながら抵抗するが、
びくともしない。
なん、なんだ、この、差は。
「犬に成り下がった君に、僕は
止められないよ。・・・・・・残念だ。
少しだけ、期待したんだ。
僕と同じなら、分かり合えるって。」
全身の力を振り絞るが、河野の手の力は
恐ろしい程強くて、
ただ絞められていくのを、もがく事しか
出来ない、なんて。
「・・・・・・その、赤い目。何で半人の君が、
持っているんだろうね。気に入らないよ。
・・・・・・えぐり取ってもいいかな?」
もう片方の、こいつの自由な手が、
狙いを定めている。
「・・・・・・そうか。綺麗事言ったくせに、
その赤い目で、日下部 杏奈を落としたのか。
使い方、間違ってるよ。大地くん。
この赤い目はね、補給だけに使うんだよ。
満たすだけの、ただの便利な道具だ。
彼女はね、君の事本当に大好きなんだよ。
使うまでも、なかったんだ。」




