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6−6
一限目終わった!
よし、トイレに行くフリをしてして······
「朔耶っ。」
立ち上がった瞬間、杏奈に呼び止められた。
それに柏原と河野は反応して、
ニヤニヤしている。
クラスのみんなも、注目している。
マズい。杏奈は、俺の異変に気づいている。
切り抜けないと。
「何かあった······?」
「······いや、実はさ······ガチで、
腹痛くて······」
「えっ?」
ベタすぎか。でも、これしか浮かばねぇ。
目指せ演劇部。
「大丈夫······?」
「ああ。出すもん出したら、
大丈夫だと思う。心配すんな。」
お食事中の方、すんません。
「うん······」
ごめん。嘘ついて。
でも、お前が傷つくの、見たくないんだ。




