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ホームルームが終わり、
一限目が始まる5分前。この時間を、
無駄にはしない。
スマホを取り出し、乾さんに
ショートメールの文章を打つ。
合言葉のようなものだ。
“血は、トマトジュースではない。”
これが、緊急用のメールらしい。
意味は、さっぱり分からない。
「詳しく教えろよ~!大地~!」
後ろから、背中をツンツンされる。
くっそ。柏原っ。邪魔すんなって!
「僕も知りたいなぁ~!」
振り返った河野は、笑顔だ。
とても、昨晩のパーカー男と
同一人物とは思えない。
「ちょうど今日、調整期間で部活ねぇから
帰りに遊びに行こーぜ。話聞きてーし。」
「僕も是非、参加したいなぁ。」
「おっ。ついに俺に教えを乞いたいと
思ったのか?河野~!」
「それも勿論あるけど、気になるんだもん。
大地くんが、どうやって日下部さんと
付き合うことになったのか。
昨日まで、あんなに嫌がってたのに。
そういう、落とし方の
テクニックなのかなぁって思ってさぁ。」
「ははっ!確かになぁ!
急展開すぎんよなぁ!
そこを含めて、教えてもらおうかぁ!」
・・・・・・待てよ。
これは、チャンスかもしれない。




