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実行してみてもいいのだが、
本能的に、怖い。
習慣づいているものを、取っ払うのは
中々勇気がいる。
そしてそれを、両親が止めそうな気もする。
今朝の、『吸血鬼事件』のニュースを見た
両親の様子。ただ事じゃ、なかった。
あれがもし、本当に同族の犯行だったら?
飢えて、血を求めて、彷徨って・・・・・・
考えていたら、あっという間に
ホームルームが終わった。
一限目が始まる前の10分間、みんな
解放されたかのように騒ぎ出す。
席を立つ者の中に、杏奈の姿もあった。
なぜか、真っ直ぐ俺の所へやってくる。
「今日、一緒に帰ろうよ。帰宅部。」
呆れる以外の、感情はない。
「来たばっかりで、
もう帰る事言ってんのかよ。委員長。」
前と後ろの席のヤツらが、
好奇の目で見守っている。




