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思ったよりもパーカー男は
逃げ出すのが早かった。
そのせいで、出遅れたっ。くそっ!
「その人の保護を頼むっ!!」
杏奈に言葉を投げて、俺はすぐに後を追った。
飛んでいくスピード、想像以上に速い。
追いつけるか?
街角に入ったと思ったら、屋根に飛び乗る。
完全に、俺の追跡を巻こうとしてる。
「待てっ!!」
声で止められたら、苦労はない。
でも、投げずにはいられない。
気づけば、通学に使う
駅のホームまでに達していた。
回送電車だろうか。
丁度線路を横切ろうとしている。
パーカー男は、跳躍した。
大きな弧を描いて、電車を飛び越えていく。
「逃がすかぁぁっ!!」
俺も、後を追って跳躍した。




