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すん、と香る。
この匂いは?
とん、と地面に下りて、杏奈の身体を
ゆっくり下ろした。
「どうしたの?」
「・・・・・・」
きょろきょろと辺りを見回すが、
誰もいない。
深夜の住宅街だもんな。
でも・・・・・・
俺は、すんすん、と鼻を鳴らす。
「・・・・・・この匂い、何だろ・・・・・・?」
「?自分は、何も匂わないけど・・・・・・」
甘い、匂い。
フレグランスとも、お菓子とも、違う。
「朔耶。もしかして・・・・・・」
杏奈が目を見開いて、俺を見る。
思い当たる事は。
「・・・・・・これが、センサーなのかも。」
血の匂いセンサー。
この甘い匂いが、血の匂いだとしたら。




