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「どうだ?・・・・・・分かった。御苦労。」
短い応答して、
再びスマホを元の位置に直す。
そうか。
スマホで、胸のかさ増しをしているのか。
「ミス・レングラント。
朔耶の話は、真実だと誓うか?」
会長の鋭い眼差しを、杏奈は
真摯に受け止めて頷く。
「はい。そして、自分に
吸血鬼の麻酔は、ほぼ効きません。
しかも彼のは特殊で、噛まれた後も
この通り、治っています。」
結い上げた髪のお陰で、
白い首筋は丸見えだ。
キスマークは、もう消えている。
「・・・・・・
何という事だ。それが本当なら、
奇跡としか言いようがない。
詳しく話を聞かせてもらうぞ。
皆、そこに座れ。」
促された所は、見るからに高級そうな
ローテーブルを四方囲んだ、
黒い本革のソファー。
みんな言われた通りに、腰を下ろす。




