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乾という女性がいる受付から
さらに奥へ進むと、大きな両開きのドアに
突き当たった。
その色も、紛れもない黒だ。
昌耶が先陣を切って、
ドアの取っ手に手を掛けた。
思ったよりも、軽く全開する。
部屋の中は、本棚が壁沿いに囲んで
書斎のような空間が広がっていた。
中央に置かれた、アンティーク調の机。
そこに両腕を置き、
黒の本革チェアに座っている、一人の・・・・・・
えっ。女?しかも、30代に見える。
俺の勝手なイメージで、
高齢のじいちゃんだと思ってた。
「大地君。あまりにも急な会合で、
祝う準備が出来なった。すまない。」
女性は立ち上がって、頭を下げる。
「そんな、頭を上げてください、会長。
お詫びをするのは僕の方です。」
親父は女性の前に歩み出て、同様に
頭を下げた。
身長差、ハンパないんだけど。
 




