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エレベーターの下降は、
地下5階の表示で止まる。
重々しいドアが開くと同時に、
互いに繋いでいた手を、そっと放した。
心の準備、万端。何でも来い。
目の前に広がる空間は、まるで
西洋にある城の玄関ホール。
床、壁、装飾品までほぼ、黒だ。
だからというか、豪華というより
魔王が住んでいそうな雰囲気。
すげぇな。地下に、こんな所があるって。
真ん中にホテルの受付のような
スペースがあり、そこに誰かの気配。
着物が似合いそうな、日本美人だ。
俺たちの到着に気づいたのか、立ち上がって
丁寧に頭を下げた。
「承っております。大地 昌耶様。奏子様。」
「急で申し訳なかった。」
「いえ。丁度スケジュールに
空きが出来ましたので、幸いだったかと。
会長は、奥の応接間にいらっしゃいます。」




