11/650
1-1
日下部 杏奈。
クラスメイトの女子。
なぜかこいつは、何かと俺に絡んでくる。
ハニートラップなんだろ?
仕掛けても、何も出ねぇぞ。
「ヒドいよね。そんなんだから、
女子ウケしないんだよ?」
「ほっとけ。」
ウケようと思っていない。
「仕方ないから、この杏奈さんが
友だちになってあげようとしてるのに。」
「何様なんだよ、お前。」
「あ、ちょ、待ってよっ」
俺は離れるように、歩く速度を速めて
校舎内に入る。
こんな事じゃ、こいつは引き下がらない。
引き剥がそうとしたのに、杏奈は
走って付いてきた。
「はぁ、はぁ、ちょっと待って、大地、
あんたね、足速すぎだってば・・・・・・」
俺は、『1-D』の教室に入る。
杏奈も少し遅れて、後に続いてきた。
 




