表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/14

12:ストーカーになります!

 



 ジェフリーを問い詰めると、思いのほかスルリと吐いた。

 

「何が私のためよ!」

「では訂正する。我が家の体裁の為だ」

「知ったことですか! ならば私はストーカーになります!」


 謎めいた宣言をされ、ジェフリーは混乱状態に陥りかけた。

 

「い………………意味がわからん……普通に迷惑だろ」

「デュラハン様は市民……いえ、人間の外側にいらっしゃるので、刑法には触れません!」


 そういうことじゃない、と言いたかったが、ジャニスが勢いよく部屋を飛び出したので、何も言えずじまいだった。

 ただただ、ジャニスが去り際に侍女の腕をガッチリと掴んで行き、侍女が泣きそうな顔でこちらに手を伸ばしていたのには、正直心が痛かった。侍女が戻ったら、特別休暇と特別報奨を出そうと思うほどに。




「おぉぉじょぅぅぅさまぁぁぁぁ、かえりましょぉぉおおぅ?」

「シッ! 煩いわよ。来たわ! みてみて、あれがデュラハン様よ! 格好良いでしょ?」

「フルメタルアーマーなのでわわわわかりませぇぇぇんっ」


 半泣きの侍女が帰りたいというものの、ストーカーになると宣言したのだから、ストーキングせねばならない。そんな超理論で現在ジャニスと侍女は夜の古城の壁面に張り付いて、窓から中をこっそり……もとい、堂々と覗いている。


「まぁ、箒で掃除を始めましたわよ」

「こんな時間に…………なんだか、チラチラとこちらを見られていますが?」

「気のせいでしょ、外はこんなにも暗いんだもの、バレてないわよ」

「そうでしょ…………ヒッ」


 ふよふよ、人魂たちがジャニスの回りを漂う。もしかして、これに照らされて見えているのでは? と侍女は思ったが、言ったところでジャニスが考えを変えるとは思えなかったので、グッと黙った。

 ジャニスからは絶対に離れず、無事に屋敷に帰るんだ、帰ったらジェフリーに配置換えを頼み込むんだと固く決意して。


『…………』


 帰ったと思ったジャニスが、窓から城内を覗き込んでいることに気が付いた。

 初めは気付かぬふりをして近くを通ったりしつつ、日課をこなしていたが、やることがすぐになくなってしまい、デュラハンはとうとう意味不明にも箒で床掃除を始めてしまった。

 ジャニスと侍女らしき人間がいると、二人を見かねた霊に教えられた。


『……口出しするな』

『そうは言いますが、旦那ぁ、外は寒いでっせ?』

『っ…………』


 そういえば、ジャニスの口からは白い息が見える。そんなことにやっと気付いたデュラハンは、慌てて城の外へと駆けていったのだった。

 



※同意のない(?)ストーカーは犯罪です。

 この作品は、犯罪を推奨する意図はありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ