5文字の距離
「あいしてる」
たった5文字だけど、どうしても伝えられないんだ。
抑えられないこの衝動は、長編小説にしても足りないくらいだ。
出会った頃のボーイッシュなあなたに惚れたのだろうか。
それとも、夏祭りで見せたあの横顔だろうか。
分からない。
だけど、何も言えずにここまで来てしまったんだ。
6年目の片思い、もう一方通行で終わらせたくない。
君が僕以外に見せるその笑顔が何故か辛くて。
僕だけのものに出来ないかといつも嘆いて、喚いて。
お酒が飲めるようになって、二人で馬鹿みたいに騒いで、怒られて。
楽しかったこの日々も、いつかは過去のものになってしまうのか。
君と一緒にいたい。君のことが好きで好きでたまらない。
今日こそこの重い想いを伝えられたら。
「ごめんね」と言われるのが怖くて。
でも、このままではいたくない。
やらないで後悔するより、やって後悔したほうがマシだとわかっていながら、なぜ動けないのか?
踏ん切りがつかなくてもいいじゃない。
決断できなくてもいい。深く堕ちていたい、この泥に浸りたい。
もっと素直になれるなら、深読みしないで言えるなら、君はなんて言うのかな。
「わたしも好きです」
なんて言われたら、きっと僕は死んでしまう。
休みの日には君を助手席に乗せて、旅行に行くんだ。
美味しいものを食べて、いろんな景色を見て、二人だけの記憶に刻むんだ。
そんな甘い夢に浸っているだけで幸せかもしれない。
だからどうか、彼女に別の恋人ができる前に、一歩を踏み出す勇気が僕にありますように。