出会い
これは別の世界のどこかの国のお話。
隣国同士の争いが絶えず、国内の治安も悪化していた。
略奪、強盗、暴行、人種差別
そんな問題に干渉されない山奥の白樺に囲まれた自然の中に小さな小さな村があった。
村には20組み程の家族が平和に暮らしている。
そこからさらに山奥の小さな小屋に
まだ10歳の小さな少女、ミヤとおじいさんは住んでいる。貧しいながらも自給自足で穏やかに暮らしていた。
ミヤには産まれた時から不思議な力があった。
その力のせいで両親に不気味がられ迫害を受け、
それを不憫に思ったおじいさんがミヤを引き取り村を離れて2人で暮らすようになった。
おじいさんはミヤを可愛がり、大切に育てた。
ミヤも元気を取り戻し、明るく活発な子に育っていった。
たまに、顔が曇り外の景色を見つめたまま声をかけても返事もなく食事を食べない日もあったが、おじいさんは黙って見守っていた。
「ミヤ!畑に行ってくるから水汲み頼んだぞ!」
まだ寝ていたミヤに声をかけた
「はぁ〜い。。。」
眠い目を擦り、ミヤは返事をした。
寝ぼけながら、起き上がり
両手を自分の頬に当て10秒程目を瞑った。
「よし!今日もお仕事しよっと!!」
これがミヤの毎朝のルーティーン。
ミヤは水汲みや掃除が仕事になっていた。
「おじいちゃん!行ってらっしゃい!」
ミヤは元気に送り出し、近くの小川に水汲みに行った。
小川までは雑木林を抜けて行くのが近道。
毎日行っているミヤには慣れたもので元気に走り出した。
「あっ、いけない!忘れてた!」
ミヤは家に引き返し、白い手袋を付けてまた走り出した。
水汲みをした帰り道
「ガサッ」雑木林から微かに音がした。
ミヤは足を止めて雑木林に目を向けた。
しかし、何も見当たらない。
「気のせいかな?」
帰ろうとした時に
「ガサッ」
また音がした。
「やっぱり何かいる!ウサギかな!?」
ミヤは草をかき分けて探し始めた。
少し先に倒れている兵士の格好をした男を見つけた。
男は泥だらけな簡素な鎧と綺麗な剣を持っていたが、大きな傷や出血は見られなかった。
「うわっ!大変だ!大丈夫ですか!?」
ミヤは声をかけて、汲んできた水を渡した。
「、、、あぁ、大丈夫だ。ありがとう。」
そう言って兵士は水を受け取った。
これがミヤと男の出会いとなった。