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第七話 シェンテラン家の新しい風向き


ここからは言うなれば『新章』の幕開けとなります。


――ちなみに(仮)タイトルは『受けて立ったはいいけれど。』


全体的なオチを予想させますね、リュームや?


 

 リューム。おまえの豪語する『人並みの体力』とやらをお披露目してみるか?

 

 ・。・;*:・。・:*:・。、・:*・。:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。:*:・。:*:・。

 

 はい。

 迷い無くお答えしたのはこの口です。

 ジ・リューム・・・タラヴァイエこと、シェンテラン家の養女にして現・ご領主様の義妹の!

 こ・の!――私めでございます。

 

 そしてその言葉に後悔は無いと言えば嘘になる・・・・・・。只今そんな状況の真っ只中のリュームです。

 

 ――正直に申し上げましょう。

 今、疲労のあまり気が遠くなり掛けております。そこを何とか踏み止まっている次第です・・・よ・・・・・・。

 

 ・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。:*:・。:*:・。:*:・。・

 

 事の始まりは半月ほど前に遡ります。

 

「来月ご領主様は、正式に(・・・)この領土の主様となられますから。任命式がございますんですよ」

 差し向かいでニーナから刺繍を習いつつ。ニーナは針仕事をしながら、色々と教えてくれます。

 刺繍も上達しておけば、身を立てるのに役に立つでしょうと言う寸法です。小さい事から抜かりなくがリュームの主義です。

 図案を考えたり、糸の配色を考えたり。一針一針ちくちくと丁寧に――。実に地道で、根気の要る作業です。

 でもだんだんと自分の手元が、華やかに彩られていく様は楽しいものです。

 作業に没頭していたのですが、ニーナの話に手を止めました。

「せいしき?え・・・・・・そうなの?」

「はい。まだ前・領主様と奥方様の喪も明けておりませんでしたからね。任命式という晴れやかな舞台は、そういった事が落ち着くまで行わずにいるものですからね」

 今まではまだ仮の状態だったそうです。たとえ公にそのお仕事をされていても、試験期間だったそうで。・・・知らなかった。

『これからは領主と呼ぶように』とすぐ館の皆に命を出されていたから、もうてっきり本決まりだと思っていましたから。

 お義父様が亡くなられたのも急だったせいもあって、引継ぎの事務処理だの審議会の協議だのに手間取ったらしいです。

 ニーナの話によると来月、ルゼ・ジャスリート公爵様から直々に任命のお言葉を賜る『任命式』が執り行われるそうです。

 ルゼ様。このサンザスの国ウルフィード地区をお治めになってらっしゃる公爵様。――しかも、女性の方と伺っております。

(はぁ〜・・・・・・!すごいです!同じ女性でもリュームとは全然違いすぎますね・・・・・・。いいな。リュームも人のお役に立てたら。お仕事できたら、いいな。そしたら、ちょっとは見直して貰えるかもです)

 そこまで考えて止まってしまいました。

(ん?見直して貰うって、誰に(・・)――?)

 リュームの役立たずぶりは、自他共に認めるところですからね。

 幼い頃の野望『おとーさまの後釜狙って役職持ち』は、いまだにリュームの中でくすぶっていたようです。

 何もリュームも好きで『ただ飯ぐらいの役立たず』に、甘んじている訳ではございません。

 抜け出せる機会があるなら、いつだって飛び込む構えですよ。本気ですともよ!

 ――その為にも何を差し置いてもまずは健康な体作りからですね。とほほ。結局そこに行き着く自分に、とほほ・・・・・・。

「そのご準備でシェンテラン家の皆様方もお忙しくなりますよ、きっと。ご領主様は勿論のこと、リューム様もお支度しなければなりませんわね」

「・・・・・・。」

(いやいや。それはリュームには関係ないよ、きっと。だってねぇ、リュームの存在はシェンテラン家の――恥だから・・・・・・)

 あの方はけっしてリュームを公の場には出さないでしょうから。

 そうは思いましたがわくわくと声を弾ませているニーナには悪いので、ただ黙って聞いていました。

 へぇ〜?ふ〜ん。そ〜ですか〜。何て思いっきり『他人事』として聞き流していた、穏やかな昼下がり。

 

 そこで突然扉がノックされました。

「はい――?」

 ニーナが素早く出向いてくれましたが、それよりも早く扉が開け放たれていました。

 侍女が礼を取ったのと同時に、その背後に立つ人影にリュームは思わず立ち上がってしまったじゃありませんか!

 ・・・・・・派手に椅子が後ろに倒れました。いえ何も自然に倒れたワケではなく、倒したのはわたくしですが。

 おまけに倒れた拍子に椅子の脚が、リュームの太腿(ふともも)の裏を直撃です。痛い。

 ガッタ・・・―――ンッン!後、リュームの「いたぁ・!」という情けの無い声が続きます。

 それくらい動揺も露わなリュームに、そういえば名前も知らない侍女の方。一つも動じずにいてくれてありがとう。

 ・・・・・・ニーナも。笑いを堪えてくれてありがとう。

 

「失礼致します、リューム様。――ご領主様のご訪問にございます」

 

 とまあ、前触れも無く。突然ご領主様のご訪問にあった訳です。呆気ないほど穏やかな午後よ、さようなら。

(こういうのを噂をすれば、何とかって言うんですよね?あううぅぅ〜)

 穏やかさは何処へやら。いかにも用があって仕方なく来ましたと言わんばかりの険悪な表情に、リュームの表情も翳っている事でしょう。

 実際あっという間に日が翳り、部屋の温度すら下がった気がします。

 前触れも無くイキナリでは逃げ出す口実・・・気分が優れないの何だのと病弱を逆手に取る作戦の実行もかなわずです。

(おのれ〜・・・・・・こうなるともうコレは 奇襲(いやがらせ)でございましょうよ、そうでしょうよ!)

 しぶしぶ――。差し向かいで義理の兄妹はお茶を飲むはめになったのですが。

「――本日はわざわざお運び下さり・・ぁ・あり・ぁ、がたく、・・・・・・存じます」

「ああ・・・・・・。」

 (ご領主様はおそらくご公務を終えられたばかりなのかもしれない。それともまだ執務中なのかもしれない)

 彼の装いがいつもお見かけする時より、物々しいのでそう思いながら頭を下げました。

 その銀糸で襟元を刺繍された黒い上等そうな上着を、出来ればお脱ぎにならないかなぁと願いながら。

 それを羽織られている様が、いつもの圧迫感が三割ほど増しているように感じます。

(黒というのはやはり・・・あまり面積が大きいと、人に圧迫感を与えてしまうものなのかもしれませんね。

 ――リュームも、でしょうか?)

 そう考えて思わず、小さくため息を漏らしてしまいそうになりました。

(せっかく・・・ご領主様の方を見ないように、深々と頭を下げているのに)

 今日は髪を下ろしたままなので、頭を下げた途端自分の黒髪が視界を遮ります。

 それすらも視界から締め出す為に、ご領主様が席に付かれるまで自分の足の靴先を見つめていました。

「・・・・・・・・・・・・・。」

 ありがたく、の後に続く言葉に思わず一呼吸置いてしまったのは、本音ではなく建前を言わねばならない自分にうんざりきたからです。

 本当はありがたくの後は、『ないんですけど〜』って続けられない自分にがっかり。

 でもオトナな対応でしょう?えらいぞ、リュームと自画自賛。ちなみに好き放題をこの方に言ったら最後、また喧嘩(バトル)になる事くらい大バカのそしりを受けた(根に持ってますね)娘でもわかってますよ〜だ。

 そんな調子で堅苦しい、そしてワタクシは息苦しさも伴なう挨拶が終わった時点で既に・会・話・終・了・!――どうしろと?

 

「――・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

 ニーナが給仕をしてくれるのが救いと言えば救いです。

 無言。誰もが。

 ニーナの淹れてくれたお茶を無言ですするだけ。カップと受け皿が控えめに立てる音だけが嫌に響きます。

 これが気まずいの何の・・・・・・リューム早々に降参。耐えられなくて自分から切り出しました。

「あの・・・・・・今日はどうい・たご用件でしょう?」

「用が無ければ訪れるなと?」

「え?――ない・ですか!?」

 ――じゃぁ、何しに来たんですか?そう思いっきり不審がって、責めるような調子が出たのには自分でもびっくり。

 思わず俯きがちにしていた面を上げてしまいました。その途端に、煌びやかな金の髪が眼にしみます。

 思わず、驚きの為に見開いた目を(すが)めてしまう程に。

 そもそもご領主様のお言葉にびっくり。絶対のっぴきならない理由でもなければ、リュームなんて無視してるくせに。

 結果――。不本意ながら眼差しが絡み合う事に。

「・・・・・・・・・・・・。」

 何も睨まなくてもいいじゃありませんか!思わずあからさまに顔を背けちゃいましたよ!何の取り繕いも無く。

 無礼丸出しです。しかしリュームはそれ所じゃありませんでした。ニーナの必死の目配せにも気が付かないくらい。

(・・・・・・っく!悔しい・・・負けたっ!)

 視線の切り晒し合いに。その眼力まで強すぎですよ。――膝の上に置いた己の拳を握り締めたのは言うまでもありません。

 普段から食卓も別々。あの喧嘩(バトル)以来特に接触を避けている者同士が、会話も弾みようが無く。

 そもそもですねぇ、会話のやり取りなんてものが成立した(ためし)がないんですよ?

 本当に何しにいらしたんですか?嫌がらせですか。それともこの間の喧嘩の決着でも付けにですか。

(ああ、そうそう。アレだ――!アレでしょう!『意味不明なんですけどあの手紙。カラス娘がこの次・行き倒れを起こしたら、自分の巣に戻れないように遠方にでも見限るって事でしょうか?――望むところですので、どうぞどうぞ。』って同じく手紙で返事を書いたから。その件でまたリュームを解釈違いとバカ呼ばわりしにいらした、とか?)

 ――ちなみに。ご領主様に当てた手紙にはそんな馴れ馴れしさ皆無の、必殺お嬢様口調で書きましたからご安心を!

 まあ言いたい内容はそんな感じでした。要は言いたい事を、ばか丁寧な調子で書いただけで内容は無礼ですと認めます。

 何気に静かに戦闘態勢の構え継続中と、察していただけました事でしょう。

 正直それっきり何の音沙汰も無いので、今の今まで忘れておりましたが。

(自分から切り出すのもまた・・・お怒りを買いそうですしねぇ?)

 でもなかなかそのような運びにならないと言う事は、もっと違う目的が有られる様にお見受けします。

 そんなリュームの考える事は、もう!ただただ、一点に絞られております。

(ど、どうやってお引取り願おうかなぁ、もう〜・・・・・・)

 このままお開きに持ち込むために、仮病でも使おうかと軽く考え始めた頃。

 突然、ご領主様は一言呟かれました。何を見るとも無く、視線はご自身のお手元に置いたままで。

縫い取り物(・・・・・)・・・・・・か?」

「――ぁ・・・?え、はぃ?」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

 会話終了。

(縫い取り?――あ、刺繍の事かな?)

 そういえば慌てて小机の方に移動させただけで、出しっ放しだった等とすぐに思い当たらなかったのと。違う算段に気を取られていたリュームは、気の抜けたような声を上げてしまいました。

 再びの沈黙。

(あ、いけない・いけない。何かつながないと。)

 思い切って息を吸い込みました。その割りにどうつなげたらいいか思い浮かばず、そのまま固まってしまいました。

「ええ!リューム様はご領主様のお祝いのための品を、縫ってらっしゃるんですよね!――ねえ!リューム様っ!?」

(な、何を言い出すんですかっ、ニーナっ!?――そんなワケ、あるワケ・・・・・・)

「――ね!」

(うわぁ。ニーナ、必死ですね。リュームに頷けと。――本気ですか)

 まるですがり付くかのような眼差しで、ニーナは胸の前で両手を組んでいます。そう、祈るように。

「え・・・ぇとデスね。これはちょ・と女性向けの図案で、して。お・男の方には、む・向いて無いものでして、そのぉ――。ご・ごりゅぅ・しゅ様にはも・と、違う図案の物の方がいいかと・・・・・・。そもそもリュ、リュ・ムごときのつたない縫い物などは、ごりょしゅさまには、ごめぃわく・に、なるだけかと・・・・・・?」

 

 是 (はい)でも 否 (いいえ)でもなく。しどろもどろとその場しのぎもいい所のお返事です、我ながら。

 本音はリュームがこしらえた、せっかくのお花畑をこの方にはやりたくないだけです。

 薄紅を中心にしたお花と赤い実を、鮮やかな葉の緑で囲んだ図案はどう見たって女性向け。

 そんな物がこの方に必用と思いますか、ニーナ?

 ――絶対すぐ見向きもされなくなりますよ。下手したらあげた時点で無視されますよ、きっと。

 せいぜい良くても衣装棚の肥やし、一直線でしょうと予想されます。

((・・・・・・・かわいそうですもの。そんな扱われ方したら))

 だからこれはご領主様にはあげません。ニーナにあげるのです。

「――別に・・・・・・構わん」

「は、い?」

 構わない(・・・・)?何がでしょうか?リュームがどうしようが、別に関係無いって事でしょうか?

「・・・・・・。」

「はい。――しょ、承知いたし・・・ました」

 また理解の悪いリュームに苛立たれたらしいご領主様に、無言で睨まれました。慌てて視線から逃れるように、頭を深く下げます。

(・・・・・・でも。よっく考えたらこの縫い物用品は全部、シェンテラン家に買い与えられた物ですものね。――それ以外も全部。リュームの着ている服も。頂いてるお茶も、食事も。こうしてくつろいでいられるお部屋も、余すことなく全てが・・・・・・)

 リュームの持ち物など、本当はひとつも無いのです。

 お義父さまが生きていらした頃ならまだしも、この方に義妹と認められてもいない現在とあっては――なおさら。

 情けなさに何だか泣けてきましたよ、また。

 

 ・。:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。:*:・。・:*:・。・ 

 

 ――そういえば。リュームはいつも何かを貰うばっかりで、何のお役に立ったことも無かったですね。

 それどころかお礼すら伝えた事が無かったですね。

「――ごりゅ、・・・」「――リューム、」

 声を発したのは、ほぼ同時。言葉がぶつかってしまいました。

「「――・・・・・・。」」

 引くのも同時です。お互いに黙り込みました。

「何だ?」

「――何でございましょう?」

「俺が訊いている」

「え・・・ぁ、はい。申しわけございません」

 再び沈黙。だってねぇ。何とまとめればいいのでしょうか?

 衣食住まるっきり頼りっぱなしの割りに感謝の言葉も無いので反省中です、何て。

「・・・・・・・・・リューム。」

 

「――失礼ですが、ご領主様。リューム様がそろそろお疲れのご様子かと。それにお薬の時間でございますので――」

『――お引取り願います。』

 流石にそこまではっきり口にしないまでも、暗にそう告げている事を隠そうともせずにニーナが助け舟を出してくれました。

「そうか。・・・・・・これの体調はどうだ?」

「はい。最近は発作も起こされませんし、お熱も出されません。いくらかお疲れ安い事を除けば、ずいぶん健やかになられました」

「リュームはもう、大丈夫です」

 何気に放り出し推薦。もう野垂れ死にの可能性は無いので、いつでもどうぞ。

「そうか。ならばリューム。オマエが何時(いつ)ぞや豪語した『人並みの体力』とやらを披露して見るか?」

「――はい」

 不敵な笑みに思わず答えておりました。ためらわず。――その『お披露目』の内容やらを確認もせずに。

「来月の任命式にシェンテラン家の身内として立ち会え」

 それは要するに、リュームに(おおやけ)の場に出席しろと言う命令。

 

 ・。:★ ☆ ☆  ★ ☆ ☆ ★ :・。・

 

 ―――・・・・・・。

 

 ――・・・。

 

 本気デスか?

 

 

「やりましたね!リューム様っ、このニーナ、今日のような日をどんなに待ち望んでいた事でしょう!」

 ――え・・・・・・?そんな、涙ぐむほど?

「お嬢さまのお美しさ、可愛らしさをお披露目するまたとない機会!ここで有力者の若様の目に留まれば、一気にご縁談が舞い込むこと間違いありません!さぁ、お忙しくなりますよ」

 ――え、えっと?ニーナ?

 

 それもそうですけど・・・・・・。ど〜?

 コレ、どうしろと?

 どうしろと!?

 

 リュームの手にはなぜかご領主様の上着が。あの重苦しそうな黒の上着が。全く持って予想を裏切らない手触りの良さと、重厚さが上等さを静かに主張してくれる上着を!

 いかようにして欲しいと仰っているのか!

 リュームごときのお(つむ)ではさっぱり解りませぬぅ・・・・・・。

(((()に、ってモノですか!?また?暗に何かを意味していてそれをリュームに推し量れと?)))

 動揺のあまりニーナの嬉しそうな声をどこか遠くに聞きながら、己の手の感じている確かな重みに――。

 

 リュームの気も徐々に重さを増すばかりでございますれば・・・・・・達する結論はひとつ。

『絶対コレは新手の嫌がらせに違いない』

 

 ・。:*:・。:*:・。・:*:・。・*:・。:*:・。:*:・。:*:・。:*:・。:*:・。・

 

 ””――リューム。オマエの言う男に相応しい図案とやらで、コレに祝福とやらを授けてみろ””

 

 やれやれ。ようやっとこれで呼吸が楽に出来る――。そうお見送りした戸口で立ち去り間際に突然ですよ?

 ご領主様ときたらですね、素早く上着を脱ぐとリュームに放り投げたのです。

 礼を取っていたおかげでリュームは、頭からばっさり被されてしまう格好となったワケでして。

「っな!?な、にっ!?」

 思わず素っ頓狂な声を上げてしまったとしても、責められないハズです。

 まったく!生け捕り用の捕獲網にでも掛けられたかと、驚いたではないですか!

 視界を遮られもがくリュームをニーナが助けてくれる頃には、あの方のお姿は何処にも無く。

 ――ちょっと待って下さいよ。

 そんな抗議も届きませんて。

 

 まぁ。お花畑はニーナにあげられそうだから、『没収』は免れたと嬉しいのですけどね?

 

 ・。:*:・。:*:・。・:*:・。:*:・。:*:・。:*:・。:*:・。:*:・。:*:・。:

 

 そんな調子でリュームのこの半月は、実に(あわただ)しいものとなりましたんですよ――。

 



お疲れ様でございました!


またしても長い・長い。軽く二話分詰め込んじまったのは、リュームの体調がよろしいせいかと。


彼女目線なのでリュームがおしゃべりなら話が長くなり、具合が悪くてしゃべるのもやっとだと(やや)短くなるようです。


そして。恒例化させようかと目論んでいる・どうでもいい裏話行きます。

            ↓


         ★ ☆ ☆ ★ 


””ねぇねぇ、リュームぅ?――さっきのお手紙はなんて書いたの?””


そろりそろりとご領主様のお部屋の扉に、手紙をすべりこませた帰り道。

相変らず挙動不審。見つかったらどうなる事やら。

なので素早く速やかに!立ち去るべく早足です。付き合ってくれるエキも一緒に。


「ん?あのね――・・・・・・。」


       ★  ☆  ★


――かさり。

ごくごく僅かな空気を振るわせた音も、この過敏な神経は聞き逃す事が無いようだ。

(何だ・・・・・・?)

僅かな灯かりの中で、視界に浮かぶのは白い紙。

扉の隙間からのぞくソレを抜き取り、広げ見て言葉を失う。


         ★ ☆ ★


『カラス娘の巣は何処へなりともとって頂いて結構です。どうぞご領主様のお好きなように』


「・・・って。今度行き倒れたらそのままにしておくなり、どこか遠くにやるなりして頂くようにと思って」

””うわ〜・・・・・・・・。無邪気って怖いね””

「?」

””うん。この次は無いと思った方が身のためだよ””

「うん?」

””ねぇ?――それ『素』なの?””




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