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天才王子は助言する 7

その日の夜、ローズが目覚めたという報告があった。

僕は、すぐにでも駆けつけたかったのだが、深夜に行くのはどうだろうと思い、明日の朝向かうと使用人に伝えてくれとメモを渡し、その日は就寝した。



次の日の朝。


僕は、早々に父に許可をもらい、途中でクリスを拾ってヘレン邸へと向かった。



「ローズ! 大丈夫なのかっ?」


「ディック……ええ、もう大丈夫。心配かけてごめんなさいね」


「よかった…」


本当に良かった。

実際、昨日は寝てもすぐに目が冴えてしまい、結局ほとんどなることができたかったのだ。


「…あ、殿下。…マリンに渡してくださった、フィンセントへの魔力制御アクセサリーは…ちゃんとフィンセントわたしましたわ。今も…身につけているはずです」


「そうか、役に立ったようで良かった」


「あの…それで…ディックは大丈夫なのですが…?」


ああ、僕が自分の魔力制御アクセサリーをフィンセントに渡してしまったことを言っているのか。


「大丈夫だ。僕はもともとこれをつけているからな」


僕は、そう言いながら、右耳に付いているイヤーカフを見せる。

核となっている、魔力石から魔力が漏れ出しているので、魔力を持った人間なら、見ただけでわかるだろう。


「そうですか…」


あからさまにホッとした顔をするローズは見ていて面白い。


「ちなみに俺とお揃いなんだよ。そのイヤーカフ」


そう言って、クリスが左耳についている、色違いのイヤーカフをローズに見せる。

とは言っても、僕もクリスも、普段はイヤーカフを髪で隠しているので漏れ出した魔力が見えることはない。

あまり、魔力を持っていると見せびらかすのは危険だからな。


「ローズも、その魔力制御アクセサリーは腕ではなく、紐に通して首にかけておくと良い。それは…見せているのでは、魔力暴走より危険だからな」


「…そうします…マリン」


ローズが指示して持って来させたのは、藍色のチェーン。

ローズはそれに魔力制御アクセサリーの腕輪をクルクルと捻って小さくするとそうしたことで出来る輪っか全てをチェーンに通して、その出来たチェーンを首付けた。

チェーンは長めなので、服の下に隠せば見えることも無い。


「どうですか?」


「うん。見えてないよ」


「ああ…紺色のチェーンはローズに似合うな」


「あ、ありがとう…ございます…」


照れながらお礼を言ってくれるローズは本当に可愛い。

容姿も相まって、まるで、天使のようだ。



「リチャード第一殿下、時間でございます」


チッ、もう時間か。

朝、公務をやらなかったツケが回ってきた。

こんなことなら、適当に見繕って馬車で終わらせてしまうんだった。


「クリストファー様も、当主がお呼びです」


「え? 俺も?」


…当たり前だろう。

あんな早朝から許可も取らずに。

バールバーン公爵も、さぞお怒りに違いない。

こいつが時期バールバーン公爵では、先が思いやられるな…。


「ローズ、すまない。時間だ。また明日来るから」


「…はい、お忙しい中、私のために来てくださってありがとうございました。明日には、動けるくらいまで回復しておきますわ」


「無理はしないようにな」


「ローズ嬢、ばいばーい」


僕の後ろからクリスがローズに手を振るが、無視を決め込む。


「では…」


「リチャード!」


帰る、と、言おうとすると、ローズに慣れないフルネームで呼ばれた。


「…お気をつけて」


そのあと、ローズは僕らが部屋を出るまで見送ってくれた。


そして、本当にヘレン邸を出ると言う時、とある袋をメイドに渡された。


「これは?」


「匂い袋と言うものです。お嬢様が作られました。渡すように、と」


綺麗な刺繍に織り込まれた小さな巾着袋からは嗅いだことのない、甘く、優しい匂いが漂ってきた。


「礼を、僕がお礼を言っていたと、ローズに伝えておいてくれ」


「かしこまりました」


僕は、貰った匂い袋を大事に胸ポケットにしまうと、クリスと共にヘレン邸を後にした。

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