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天才王子は抜け道を語る 5

この国には、何人かに一人、魔力と言う異能を持ったものが生まれる。

魔力を持つものは魔法と言う力が使えるため、重宝されているが、魔力は…病気と言って良いだろう。


熱となって己を蝕み、爆発しそうなくらいの力を抑え込む苦しみと、暴発するかもしれない恐怖。

それが、魔力だ。


ただ、魔力を持って生まれるのは貴族が多い。

貴族の血に魔力持ちが多く生まれる何かがあると言われたいるが、実際のところは分からない。

平民で、魔力を持って生まれることは稀だが、いないことはない…が、ほとんどの場合、魔力暴走…己の魔力の熱を抑え込むことができなくて、幼いうちに死んでしまう。


魔力を抑えるには、方法が二つある。

一つ目は、自力で無理やり抑え込む方法。

これは、まぁ、無理だと思った方がいい。

と言うか、簡単に出来るのなら平民の魔力持ちが、死んでしまうことも無いと…思う。


二つ目は、特別なアクセサリーを身につけること。

魔力で魔力を抑える…変な言い方だが、魔力持ちが特別な効果をつけた何かを(アクセサリーが一般的)身につけることで、魔力暴走を抑えることができる。

もっとも、完全な制御アクセサリーはとても高価なもので、貴族であっても滅多に手に入れることはできない。

そのため、魔力を吸収するためだけに、そう言う付与をしたアクセサリーを暴走した際には身につける。

が、それでさえも高価なもので、下級貴族程度なら手が届かないほど。



そして、今…僕がローズにつけたのは…。


「王家が誇る、最大の魔力制御アクセサリー…」


あの、王家の印が刻まれたアクセサリーを付けておけば、魔力暴走で死んでしまうようなことはない。

それに、あのアクセサリーは、周りの魔力も吸ってくれるので、近くにいる人も魔力暴走する危険性が減るわけだ。


「…お嬢様に…あれは…だってー」


「…っー、ディック!! お前、ローズを犯罪者にしたいのかっっ!?」


まぁ、…しかし。

そんな簡単な話な訳が無く。

マリンという侍女は青ざめ、クリスが胸元に掴みかかってきた。


「あの、魔力制御アクセサリーは!! お前ら王家が保管するという盟約でお前に託されていたものだろうっ!? それを、お前はっ!!」


あの、魔力制御アクセサリーは…もう、絶対に使用しないという盟約の元、代々王位第一継承者に預けられてきた。

だから、僕が持っていた。

あのアクセサリーは、たしかに、魔力暴走を抑えてくれる…だが、同時に自分の力を増幅してくれる作用があった。

当時…これを作ったものは喜んだだろう。

最高傑作だ、…と。


だが、この魔力制御アクセサリーが世に出回って数年…戦争は…過激と化した。

あちこちで、過剰威力の魔法が飛び交い、どんどんと人が死んでいく…。

どこもかしこも、悲しみにくれる人、泣き叫ぶ人で溢れた。


そうして、東西南北の四つの国で作られた盟約、それこそが。


「魔力制御アクセサリーを四つを残して全て削除する。その四つの魔力制御アクセサリーには、それぞれ王家の朱印を刻み、代々の王位第一継承者が引き継いでいく、だっけか?」


「そうだ!! お前は、今…その盟約を破ったんだぞ!それがどういうことかー「盟約は破っていない」…なに?」


そう、たしかに盟約はそうやって作られた。

だが…。


「過去、武国ノルテッシモで、唯一の特例が認められた」


「…特例、なんて」


「あるんだな、これが」


ある訳ない、と、続けようとしたクリスにかぶせて僕はそう断言する。


「武国ノルテッシモで唯一許された特例が、今回と同じ…王位第一継承者の婚約者、および妻子の魔力の暴走が抑えられなくなった時」


それは…この盟約に許された唯一の抜け道であって…この僕でさえも忘れかけていた真実。

いや…武国ノルテッシモでさえも忘れかけているだろう真実。


そして、あの時ローズを助けられる唯一の方法でもあった。

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