天才王子ととある猫 9
昨日は本編投稿できなくてごめんなさい。
次の日、僕は、持っていけるだけの書類をできるだけ馬車に詰め込むと、ヘレン邸へと向かった。
今日、クリスはとあるパーティーへ行くため、拾わず直行する。
ヘレン領の広大な土地の西の端。
花と木々に覆われた美しく手入れされた道を通ると、見えて来るのがヘレン侯爵邸。
白を基調とした外壁に、噴水、薔薇とが装飾され、シンプルでいて尚且つ薔薇の美しさが映える作りとなっている。
赤、ピンク、黄色、白、そして、入り口の前には、生けられた青い薔薇が咲いている。
「…ウィリアムとルイスは、僕についてこい。オーウェンは馬車を馬を馬屋に。エヴァンとヘーレーは先に邸に入って、ヘレン侯爵に挨拶を」
「「「「「はっ、」」」」」
この5人は、僕に付けられた護衛であったり従者であったり、メイドであったり。
ウィイアムとルイスは僕に付けられた護衛。
器量の良い顔立ちからは想像もできぬほどの剣の腕前の持ち主で、それぞれ、王国騎士、三班隊長と、四班隊長をやっている。
オーウェンは従者だ。
特別な学校を卒業したらしく、だいたいなんでもこなしてくれる、スーパーマン。
エヴァンとヘーレーは、ハウススチュワートとメイド。
2人とも、主に給仕などを行ってくれる。
ヘーレーは、僕に付けられた唯一の女性で、女性にしか出来ないそこら辺のことを上手くやってくれている。
「殿下、許可が取れました」
「…なら行こうか。ついてこい」
「「「「はっ」」」」
…オーウェンがまだ戻って来ていないが、まぁ、大丈夫だろう。
アレは僕も認める天才だ。
いなくなれば探す以前に気づいて行動するだろう。
カタン、カタンとステッキをついて階段を上がる。
本来、ステッキは、当主でない僕には不要なのだが、この国では、10歳になった、当主の後継や僕みたいな第一王子は、それから学園に行くまで、当主としての作法を覚えることを強制させられる。
これはその一環。
当主がステッキを忘れるなど、威厳に関わる問題なのだから。
ローズは、自室にいるらしい。
僕は、コンコンとノックをして、返事を待った。
「…はい」
控えめな返事があった。
…ローズの声だ。
「ローズ…? 入ってもいいか?」
「…しょ、少々お待ちくださいませ」
僕が聞くと、なにやら少し慌てたローズの声と、ガタガタと何かが崩れる音や、小さな叫び声まで聞こえて来た。
「…ローズ?」
「あ、あと10秒!!」
…言われた通り、10秒数える。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。
僕はなにも言わずにドアを開けた。
すると、そこにいたのは、真っ白な猫。
ふわふわの毛と、ローズが付けたのだろう首に付けたピンクの鈴が可愛らしい。
…ローズはこれを隠そうとしていたのか。
「にゃあ」
すると、真っ白な猫は鳴き、僕の方へと歩いて来た。
「み、ミア、ダメ。戻って来なさいー!」
ローズがパンパンと二回を鳴らして支持するが、ミアと呼ばれた猫は、一瞬止まったものの、また僕方へ向かって歩き出した。
そして、数メートル手前で止まったかと思うと、僕の方へと大ジャンプしてきた。
「うわっ」
僕は、バランスが取れず声をあげ、お尻から倒れてしまった。
…こんなところをローズに見られるなんて…自分が自分で情けなくなって来る…。
「で、ディック! 大丈夫ですか?」
すぐさまローズが心配そうな表情で駆け寄ってきた。
そして、僕に手を差し伸べ、ミアに「めっ!」と怒ったふりをする。
「ああ。大丈夫だ。…しかしこの…「ミアですわ」…そう。ミアだ。…どうしたんだ?」
それは、純粋な疑問。
全てを併せ持った純粋な疑問。
「…ミアは、私が倒れたと聞いて、お父様がプレゼントしてくださったのです。…お父様は私に甘いので…。でも、なかなか懐いてくれなくて…」
それで、ゲージに入れようとしていたのだと、ローズは言う。
「でも、ごめんなさい。…間に合わなくて」
「別に気にしていない。…マリンという侍女はどうした?」
「マリンはアームストロング邸へ出張ですわ。…資料を届けに行きました」
「ああ、それでー」
あの侍女がいないのか。
ローズは、いつもマリンという侍女の一緒にいるイメージがあるから、なんとなく違和感がある。
「…それより、ディック。その資料は?」
「ん? ああ、これか? 公務の残りだ」
これが財政で、これが軍事…と、順に説明していく。
「あの…軍事ならお手伝いができます。あと、国務も。…この大陸の言葉であれば、地方の民族の言葉でなければ、全て喋って書くことが可能です」
ほー、すごいな。
「まぁ、第一殿下は、地方の言葉であっても、全て喋って書くことができますけどね!!」
…そこ、ヘーレー。
うるさい。
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