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天才王子の婚約者 1

短編で、思ったよりも評価が高かったので、連載版を作ることにしました。

今回は、ディック視点ではなくローズ視点ですが、宜しければご覧ください。


(短編を見ていなくても、理解できるようにはつくっております)


2020年1月18日編集

…私が、自分が転生者だと確信したのは、ディックと出会う五年も前のこと。

ちょうど、5歳の誕生日だった。

その日、私は急に倒れて医師に運ばれた。

その後、三日三晩高熱にうなされて目が覚めた時に思い出したのは、今日の午後、お母様が死んでしまうという事実だった。

誰に何を言おうと「熱で混乱していらっしゃるのです、安静に」と言われるだけで誰一人取り合ってくれなかった。

わたしの話を真剣に聞いてくれる人は居なかった。

これほど、自分の無力を呪ったことはない。


そして、その日の夜。

母は死んだ。


私はそれからというもの、心を閉ざすようになってしまった。

どうせ誰も私の話なんて聞いてはくれない。

話しかけてくれるのも、私が高位貴族令嬢だからと決めつけて勝手に諦める。

そんな日々を送っていた。


こんな私に見兼ねた父が、義弟を連れてきたのが一年前。

これまた誕生日に「これからお前の弟になるフィンセントだよ。仲良くしてやりなさい」と言われたのだった。

そして…恥ずかしそうに父に隠れながら私に挨拶をするフィンセントをみて、ようやく理解してしまった。

いや、理解したく無いと遠ざけていたのかもしれない。


ここは、ゲームの世界で、わたしは、そのゲームの悪役令嬢だったのだ、と。


ただ、わたしはゲームのロゼッタのようにフィンセントをいじめてはいないし、むしろ関係は良好だ。

まぁ、これはマリンのおかげなのだけれど。


父様は、フィンセントを連れて来ても私が心を閉ざしたままという事実を知り、今度はマリンという侍女を私専用の侍女として連れて来た。


そして、その侍女には、私と同じく前世の記憶があった。


そのことに気がついたのは…そう。

私が本を読んでいた時だったと思う。


「…あの…マリン? そこの『辞書』をとってくださる?」


私が、いつものように癖で変換できない日本語を使ってしまった時だった。

普通の侍女なら、子供の創造語だと私が指を指した先の本をとってくれるだろう。

けれど、マリンは違った。


「…お嬢様? いま、辞書って言いました〜?」


『辞書』を知っていた。

それだけではなく、日本を知っていた。

つまり私と同じ転生者、それも日本人だったのだった。


それも…私が死んだのが14歳で、当時9歳。

マリンが死んだのが25歳で、当時14歳。

マリンの場合記憶が戻ったのが3歳の時だったらしく、それからマリンは私のお姉さん的存在になってくれた。


マリンの助言のおかげで、今はフィンセントとも仲良くなれたし、他にもマリンは勉強だって教えてくれている。

そして、私たちは誓いをたてた。

私たちが一生離れる事がないように。

一人になる事がないように。


私の前世での名前は優姫。

マリンの前世での名前が桜。


だから、私たちは、前世での名を交換した。

私が桜で、マリンが優姫。

時々呼び合って、忘れないようにしている。


離れないように、どちらか一人だけ悲しむことが無いように。




そうして…そんなある日。

私は、ディックに出会った。

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