2話
うわぁーーー!
目の前には見慣れた自分の部屋が広がっていた。
光に包まれたかと思うと自分の部屋にいた。
おかしい、いったい何がおこったんだ……。
「いや、ちょっと待って、なんか俺の部屋おかしくない?」
見慣れたはずの部屋に漂う違和感、全体的にピンク色が多い……?
「お兄ちゃーん、まだおりてこないのー!学校遅れちゃうよー!」
なんか下の階から声がする、てかお兄ちゃんだと?
俺に兄妹は、いないはずだが……。
「ごめん、いま行くー!支度してたとこだった」
怪しまれないように取りあえず返事を返しておく。
さてと、さっさと制服を着て下におりるか。
大きなハートマークの付いたクローゼットを開いてみる。
スカート……だと……?
いや正確にはスカートではなかった、だが、
スカートに黒のスパッツのようなズボンが付いてるこの洋服は、なんというのだろうか。
少なくとも男が着る物ではないのであろうか。
クローゼットの中を探してみるも他に制服らしきものが見当たらない。むしろブラジャーのような物から、女物のパンツらしきもの先端に縦長のアレが収まりそうな下着が見つかった。
これはもしかすると、以前友人に勧められて読んだ貞操逆転男女逆転世界に酷似しているのではないだろうか。
まさかな…てか、やばい時間がない。
これ着るしかないか……。
着慣れない下着と制服に少々てこずりながらもなんとか着る事が出来た。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
リビングにおりるとパン焼き機からホカホカの食パンを二枚取り出した美少女がこっちを振り向いた。
「あっ、お兄ちゃん!今パンが焼けたから席に座ってて」
「う、うむ」
朝食の準備を手早くこなす美少女の後ろ姿を眺めながら席につく。
いったいこの美少女は、誰なんだろ……。てか声が俺の大好きな超有名声優そっくりじゃないか。
やばいめちゃくちゃ動揺してる。落ち着け俺。
「お待たせお兄ちゃん、時間もあまりないから早く食べちゃおうっ」
「ううむ」
やばい、何がううむだよ俺、めっちゃ恥ずかしい。
「……お兄ちゃんなんか変かも……」
「ふぇっ?」
やっべぇー、なんか変な声出してしまった、どどど、どうしよう。
「やっぱり……、今日のお兄ちゃん可愛くてエッチかも……色気がムンムンとしてるっていうか……」
はぁぁぁああ? 色気?可愛い?俺が?
まさか本当に男女逆転世界?光に包まれて、こんな世界になってしまったのか?いや、俺がこの世界の俺になってしまったのか?
謎のクリスタル浮遊物体のニュースから、もう驚かないと決めていたが、さすがにこれは。
とりあえず、なんとかごまかそう。
「そうかな?妹ちゃん?でも、そう感じるのかな?」
「そりゃそうだよー、もー、お兄ちゃん女の性欲なめてない?
兄妹でも結婚出来るんだからね? いつも油断しまくりのお兄ちゃんが今日は、やけにエロいし、そんなんじゃすぐに襲われちゃうよ? 」