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親父が魔法少女で俺まで巻き込まれた件  作者: フジオ
蒼の剣姫巫女篇
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びみょうな剣心(けんごころ)


「……「知らない天井だ」ってのが、お約束、か」

 視界が広く、身体は重いが、頭はクリアではっきりとしている。


 指の先のしびれ。身体の隅々まで神経が行き渡っている感覚。

 つまりは、俺の意識があった少し前はまともな状態でなかったと。


 少しだけふらつく頭を思いながら、姿勢を起こす。


 完全に意識がなかったようだ。少し前、エイダとナギと軽口を叩いていたその時は覚えている。

 そこですぐに気を失ったのだろう。



 ここ数日で何度俺は病院に送り込まれたのやら。


「笑えてきた」

 どれだけ無茶をしてたやら。


 

 ベッドの横を見ると、そこに居るのはナギ――とエイダ。

 右手にナギ、左手にエイダ。なるほど、混ざりモノ(あの時)と同じか。


 俺が起きて動いても反応が薄い。彼女達も疲労困憊、無理をさせてしまったものな。



 申し訳無さが無いと言えば、ウソになる。


 いや、だけど、無茶をしなければ皆死ぬかもしれなかったのだから許してほしい。


「まぁ、怒られるんだろうな」

 溜息を一つ。心配してくれているのだ、悪いのは無茶、無理、無謀を突き通した自分だ。

 お言葉は素直に聞き入れよう。


 そんな事を考えながらも、寝付く二人の顔を見る。あまり顔色がよくない。


 と、エイダの眼が開かれる。

「むぅ……」

 空いた手で目をこすり、俺を見る。寝ぼけているのか、よくわかっていないようだ。


「よぉ、おはようさん」

「ん……ッ!? えっ!?」


 驚いたような表情。死人にでもあったような顔だ。

 簡単に死んでたまるかってんだよ。


「お、起きたんですか?!」

「おう、お蔭さんでな」

 死にかけるほどの無茶をしたが、エイダをこうも驚かせたのなら、意味はあったか?

 なんてふざけた事を考えていたら――


「オラァッ!!」


――ヘッド トゥ ヘッド(鋭い頭突き)



 戦いも終わり、町は惨憺たる結末。見ろよこの瓦礫の山を。


「アキラに頼めば、何とかなるか?」

《どうですかね、今の状態はちょっと面倒ですよ》

 エイダの言葉を受け、アキラを見る”俺”。アキラは未だに自らの肩を抱き、歯を鳴らし、震えている。


 いや、待て俺が、俺を見つめている?

 ナンデ!? ナンデ!? 俺ナンデ!? 

 

「姫巫女も居る、ガス爆発、不発弾、大きく問題にならない様に処理できる」

 ナギが胸を張る。処理できても、直すのに時間がかかるだろう。まぁ、無いよりはマシか。


 俺は安心したのか、ため息を一つ。同時にその姿勢が崩れる。思い出す痛み――胸、腕、何よりも頭が痛む。


 痛覚の無い器官(脳髄)が突き刺されるような痛みを訴え、全身が燃える様に熱い。

 立っても居られないそんな痛み。膝を付き、膝が受けた体の重み、その衝撃で更に悶える。


「ぐぁああああ!!」

 吼える、喉が震えるその振動で、また全身に熱が、痛みが走る。


 触れる空気が熱い。届く音が脳髄を揺さぶる。全てが痛みと化す。


 そうだ、俺はその痛みを知っている。


《不味い!?》

 (fo)(rced)(termi)(nation)。全身から熱が引く。残るのは痛み。

 ナギとエイダが俺の手を握っている。今、その暖かさがありがたい。


「何だよコレ……」

「今の今までが限界超えてハイになってただけですよッ!」

「身体、限界」

 ナギもエイダも涙目になりながら言う。そう言う奴か、エイダよ。


 ともかく、気が抜けた。俺は意識を手放した。


 その後、俺は失神。ナギとエイダが泣きながら、俺を心配してくれた。

 それを気を取り戻したアキラが見つけ、治してくれたようだ。


 アキラも正気でなかったし、俺の異装はそれなりの物だったらしく、バレはしなかった。

 それだけが救いだ。いや、いつバレてもおかしくない。ナギとエイダの関係性、繋がりが普通に考えれば存在しない。なんで本当にバレなかったんだよ。



 ともあれ、そうして今に、至ると。

 そんな事を、俺はエイダから映像情報を()脳に直接入れ込()まれるで教えられた。


「だから、にぃはもう少し、感謝して」

「そうですよ、集人さん!」

 何時の間にか、目を覚ましたナギとエイダ。二人が言う。


「もっと、まともな状態で起きたかった」

 何だって俺は二人から拘束されているんだ。


「何時、暴れるかわかりませんからね」

「本当に危険」

 仕方ないと言う二人。大体、俺の恰好が倒れた時のまま、女装のままだ。

 どれだけ寝てたのか、妙に気持ちが悪い、早く着替えたいんだが。


「あぁ、大丈夫ですよ。服は毎晩着替えさせておきましたんで」

「にぃ……、見ないうちに、大きくなってて。お姉ちゃん、ビックリしちゃった」

 ポジションを定めてください超年上の妹(ナギ)さん。


「ええ、まぁ、大丈夫です。下着はええ、ナギさんしか変えていませんので」

 顔をそむけるエイダ。何が大丈夫なんだ。いや、大丈夫か。……大丈夫か?



「まぁ、話を戻すと、集人さんが寝ているうちに何とか処理は終りそうですよ」

「そうか」

 身バレも無かったようだし、本当に良かった。


「インフルエンザ、それに爆発事故で学校ももう少しは休み」

 ナギが言う。つまりは、退院後には問題なく学校へ行けるという事か。


 ありがたい限りだ。と、ナギが背筋を伸ばし、窓の外、遠くを眺める。

 猫が突然見えない何かを視線で追うのと同じようなその挙動。


「……魔法少女で今動ける人はほぼ居ません。アキラさんも疲れで」

「剣姫騎士も動かせるのは、私と集人、この二人以外に居ない」

 そう言い、表れるサヨコさん。手に持つタブレットに移されるのは、二つの反応。

 

「目覚めてそうそう、すまない」

 本当に申し訳なさそうに頭を下げるサヨコさん。


「にぃ、今日も一日頑張ろう」

 本当に、嬉しそうにナギは言う。


「……そうだな、がんばるよ」


 学校に行く。魔法少女に加えて、剣姫騎士だと、ゴタゴタの種が増えてしまった。

 だが、頑張るしかないのだ。


 なんでだろう、涙が出てくらぁ。


 あぁ、がんばろう。



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