43A列車 整備新幹線
320キロで走行する宇都宮~盛岡間はあっという間だ。山陽新幹線の「のぞみ」、「みずほ」とは違う。明らかなスピードの違いを感じながら、その区間は終ってしまった。
盛岡から先は東北新幹線でも比較的新しい開業区間を走行する。北海道新幹線を含め、東北新幹線の盛岡~新青森間は整備新幹線と呼ばれる区間に入り、最高速度はそれまでよりも60キロ遅い260キロまでしか出さなくなる。
「・・・。」
車内チャイムが鳴った。
「本日も東北新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。「はやぶさ号」新函館北斗行きです。」
東北新幹線の車内アナウンスは東海道・山陽新幹線と違い男声でアナウンスされる。そのアナウンスが流れ終る頃には、かなりスピードに載せてきている。が、
「遅い・・・。」
景色の流れるスピードが60キロも違うならそう感じるのも無理はないか・・・。もちろん、260キロが遅いわけじゃない。高速鉄道としては標準だからね。ただ、ついさっきまで320キロで走っていたことを考えるとこの速度差は分かってしまう。
「速いのになんでだろうね・・・。」
萌の疑問はさっき言ったし、割愛。
「・・・。」
「何か答えてくれてもいいじゃん。」
「・・・だって萌でも知ってることでしょ。」
「そりゃ知ってるし、だいたい見当つくけどさ。」
「じゃあそれでいいじゃん。」
しばらくするとトンネル区間に入った。この先、日本の陸上トンネルとしては一二を争う長さを持つトンネルが待ち受けている。その一端が僕たちに睡魔を襲わせてきた。