41A列車 札幌までの切符
5月2日。東京駅の新幹線ホームに僕らは大きい荷物を抱えて立っていた。
「「のぞみ202号」で来て正解だったね。」
萌がそう言い、東京駅19番線で回送の時間を待っているN700系1000番台に目をやった。京都の出発は6時17分。東京には8時26分に到着する。
3分前に京都を出発する「のぞみ200号」も設定されているが「200号」と「202号」の東京到着時刻は3分しか変わらない。まして、今回行こうとしているところには「200号」に乗っても「202号」に乗っても変わりはない。
「ホントだね。自由席でもガラガラだったからね。」
新横浜に来ても僕らの座った反対側にある3列席には誰も座ってなかったしなぁ。
「まっ、座れない心配はもうしなくてもいいけどね。」
そう言い、萌は切符を取り出した。その切符は東京9時36分発「はやぶさ11号」新函館北斗行きだ。終点の新函館北斗着は13時38分。この列車は2016年3月26日に部分開業した北海道新幹線に直通しかつ東京~新函館北斗間を4時間2分で走破する北海道新幹線最速達列車の一つである。
「そうだね。この先は「北斗」も指定席だしね。」
僕はそのことを言った。「はやぶさ11号」に接続する特急は「北斗13号」。新函館北斗発14時12分、終点札幌到着17時41分だ。
「この後の暇つぶしが問題だね。」
「ねぇ・・・。」
考えるべきはそれだな・・・。東北新幹線のホームに上がってもまだ1時間ぐらいある。電光掲示板には8時40分に出発する「はやぶさ7号」も表示されたままだ。ついでに「はやぶさ7号」の後に新青森を目指す「はやぶさ9号」も当然のことながら発車していない。なお、「はやぶさ7号」は繁忙期意外、新青森で止まる列車の為、旅客が集中しないオフシーズンは8時20分の「はやぶさ5号」が発車した後、北海道新幹線に直通する列車は「はやぶさ11号」までいない。
「まぁ、「ぶさこま」とかでもとって時間つぶそうよ。」
そう言い東北新幹線のホームに上がった。
さて、朱鷺色のラインカラーになったE4系、山形の首長のおかげで「つばさ」感の無くなったE3系、北陸新幹線に行くE7系、W7系を一通り見たら、「はやぶさ11号」が発車する22番線に行った。
9時23分、22番線に新青森始発の「はやぶさ4号」が到着する。この列車は途中の盛岡で後ろにE6系を連結していないE5系の10両単独編成だ。東北新幹線の宇都宮~盛岡間を320キロで走る上に停車駅は大宮、仙台、盛岡、新青森のみと上野すら通過するパターンが北海道新幹線の4時間2分を作っている。
「U15編成だって。あんまり新しくはないね。」
「まぁ、今はラストナンバーが29か30ぐらいだからね。」
北海道新幹線開業時点でU30編成があるから、それが今のラストナンバーかな・・・。
「ナガシィ、どっち座る。」
「分かってること聞いてどうするの。」
「・・・はいはい。あっ、でも帰りは窓側でもいい。」
「いいよ・・・。」
乗り込む車両は4号車。編成の真ん中から少し後ろに外れた位置だ。