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24「ロック鳥を育てよう①」

ここ最近、畑が魔物で充実してきていい感じだ。

さて今日はどんな魔物を栽培しようかなーと扉を開けて外に出ると、そこには巨大な卵が落ちてました。


え、えーと。なんだこれ。

以前にも似たようなことはあったが今度は卵かい。

どうリアクションしろと。


「キョウ様、どうかしましたか、あら?」


オレが立ち止まってると後ろからフィティスが現れる。


「これはまた立派な卵ですね。今日の晩御飯はこれで決まりですわね」


速攻食う気かい。さすがはグルメ勇者。こいつ食べ物基準だわ。

とは言え、いきなり割って食べるのもなー。

これ育てたらなんか珍しい魔物とか出てこないかな?

長い目で見るなら、食べるよりもそっちのほうがいい気がする。

うん、そうするか。折角家の前に落ちてるんだし。

みすみす見殺しも気が引ける。これもなにかの縁育ててみよう。

もし孵ったやつがヤバい魔物とかだったら知らんが。




というわけで今回はこの魔物の卵を育ててみるよー!

一応干し草で周りを柔らかくして置いてみました。

ちなみに抱き抱えられるほどの大きさで暇な時は抱いて寝てみたりしてました。

あとはドラちゃんやジャックが上に乗っかって気休めに温めてみたり。

とは言え、なかなか孵らない。たまに動いてるような気配はあるんだが。

まあ、じっくり育てていくかー。






「それじゃあ、ドラちゃん。ジャック。畑仕事に行ってくるから卵のこと、よろしく頼むわー」


「はーい」


「任せておきな、にいちゃん」


そう言って卵の上に乗っかってるドラちゃんとジャック。

果たしてあれで温めていると言えるのだろうか。まあ、気にしないでおこう。

そう思う扉を開けて外に出ようとした瞬間であった。


『ぴきっ――』


それは何かがヒビ割れる音。

オレはその音がする方向、卵の方へと振り返ると、卵に亀裂が入り、それが次々と全身へといたり、そして次の瞬間、卵が弾けるように割れた。


「ぴーっ」


そこから生まれたのは人間の赤ちゃんくらいの大きさの雛鳥だった。

綺麗な純白の鳥であり、どこか神々しささえ感じられた。

お、おお、ついに生まれたのか! なんだか知らんがえらく感動してしまった。

いや、この子はドラちゃんよりも生まれるのに時間がかかったかもしれん。

そんなことを思いながら恐る恐るその子に触れようと手を伸ばした際、目と目が合うのを感じ、次の瞬間生まれたその白雛はオレの手になつくように顔を摺り寄せてきた。


「ぴいー」


可愛いぞ、こいつ!

当初、危惧していた危険な魔物説はこれで除外された!

こんな純白で可愛い子が危険な魔物であるはずがない!

そう思いながら懐く白雛をなでなでしていると、後ろから人の気配がした。


「それってアンタがこの前拾った卵のやつ? 無事孵ったの?」


振り返るまでもなくリリィだと分かる。

オレは「おう」と返事をし、生まれた白雛を抱き抱えてリリィへと見せる。


「どうだ可愛いだろう!」


生まれた白雛はオレを親だと思っているのか懸命にすりすりしてくる。

そういえば鳥は生まれて最初に見たものを親と思う刷り込みがあったと聞くがもしかして、それかな?

とそんな呑気なことを考えているオレとは裏腹にリリィの表情はどこか呆気に取られている。


「あ、アンタそれ、ひょっとしなくてもロック鳥じゃない?」


ロック鳥なんだそれ? どっかで聞いた覚えはあるが。

あれか? 確か象を一掴みにするほど巨大な鳥…………え。


「ぴぃー」


オレはこの時、こいつの誕生がこの世界にどれほどの影響を与えることとなるのか全く想像だにしていなかった。

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