02「話をしよう」
というわけで話をしよう。
あれは今から大体一ヶ月くらい前だったか。
オレこと氷室恭司はいつものように近くのコンビニにジャ○プ立ち読みに行っていた。
そこでは数年以上の常連なので毎日月曜日の昼にやってくるオレにレジのお姉さんの目がとても冷ややかに突き刺さる。
まあ、そんなことはあんま気にしないし、それよりもようやく連載再開したH○Hの方が重要でそれどころじゃなかった。
というかあまりにも連載停止期間が長すぎて話の流れ忘れていたよ。
え、えーと、なんかしょっぱなから難しい話しているけど、これどういう流れだったけ?全然思い出せない……。
そんな感じで折角の連載再開だったのにあんまり内容についれこれなかった今日その時。
コンビニから出て家に帰ってドアを開けたらあら不思議。そこは見知らぬ異世界でした。
「いや、異世界への転移とか一番重要なところでしょ。なにそこ端折ってアッサリ異世界転移してんの」
誰にともなく突っ込み。
まあ、誰も突っ込んでくれないけど。
いや、それにしてもこれ唐突すぎない?オレも異世界転生物は流行りだし見てるよ。
なんだかんだで面白いやつは面白いし、っていうかぶっちゃけ言うと好きだよ。
にしてもこれはなー。せめて異世界への転移はこうもうちょっと劇的な展開をだな。
こう、車にひかれるだとか教室で爆発だとか不慮の事故で死んだとか。
あれ、てか今思ったら大体死んでから転生してね?うーん、よく考えるとそれはすごく痛そうだから、結果としてこっちのほうが無難じゃね。
まあ、それはともかくここは異世界らしい。目の前には見知らぬ草原が広がりよく見ると遠くで見たことのない魔物っぽいものも闊歩してる。
なんだろう、こう地球でいうキウイっぽいやつ。
果物のキウイじゃないよ、ニュージーランドにいる鳥のキウイだよ。
そんなのがあっちこっち歩いてる。あ、こっちに気づいた。てかものすごい勢いで突っ込んでる。
「っておおおおおおおおい!!」
あれくちばし絶対人刺せる感じだよね。ってか刺せるよね!
来てそうそう異世界でアッサリリタイアするのもあれなんで、とりあえず全速力で逃げた。