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19「信じて送り出してないドラちゃんを取り戻すまで」

「ドラちゃんがいないぞ」


そのことに気づいたのはついさっき。いつものように庭でお昼寝しているのかと思ったら姿が見えず、家の中を探してもどこにもいない。


「ドラちゃんと言いますとあのマンドラゴラですよね? 前々から思っていたのですがキョウ様はマンドラゴラの栽培にも成功していたのですね。やはり素晴らしいお方です」


「ああ、まあな」


そう言っていつものように尊敬の眼差しを向けるフィティスに生返事をしながらもオレは必死にドラちゃんを探す。

うーむ、やはり家にも庭にもいない。ということは外に出かけたということなのだろうか。

見ると空はどんよりも曇り、パラパラと雨も降り始めている。


「……オレ、外にドラちゃん探しに行ってくる」


「え、ですが危険ですよキョウ様。雨も降り始めていますし、あのマンドラゴラも待っていれば帰ってくるのでは」


そう言って引き止めるフィティスだったが


「あの子はオレの家族なんだ。探しに行くのは当然だろう」


はっきりと断言。そのまま家の扉を開けるとそこには見知った人物の顔があった。


「相変わらずここに来るたびに厄介なことが起きてるわね」


「リリィ」


「アタシもついて行くわよ。ドラちゃんのこと心配だからね」


いつもながらナイスタイミングで手助けしてくれる奴だ。

最近はどうもこいつツンデレ枠じゃないのかと思わなくもないが、それはさておき。


「……ではキョウ様が行くというのなら僭越ながら私も」


と後ろからフィティスも近寄り同行を申し出てくれた。


「ありがとう。二人共」


二人に頷きオレは雨が降りしきる森の中をドラちゃんを探して走り回ることとなる。

そうして、しばらくした後、オレ達は大きな樹の下に転がる一個のかぼちゃを見つける。


「ジャック! お前、そんなところでなにしてんだ?!」


「に、兄ちゃん……」


見つけたジャックは明らかに憔悴した様子で、だが何かを伝えようと最後の力を振り絞ろうとしていた。


「兄ちゃん……ドラちゃんは白いローブの魔法使いにさらわれた……そいつは、ここから北の方角へ消えた……す、すまねぇな……役に立てなく、て……」


ガクッ


「ジャ――ック!!!」


「いや、気を失ってるだけだから」


わかってるけどついノリで。


「それはともかくここから北の方角か、なにかあるのか?」


オレのその疑問に先ほどのノリはどこへやらシリアスな雰囲気をまとわせたリリィが答える。


「雪の魔女の山脈ね」


なんですか、その雪の魔女って。

見ると隣に立つフィティスがぴくりと反応していた。


「この地方に伝わる伝説のひとつよ。ここから森を抜けた北の山に住む魔女。その魔女は天候すら操る力を持ち山を雪の結界で閉ざしているの。何人の侵入も許さず、侵入してきた者はすべて凍り付けにするとの話よ」


「そんな伝説になるほどの危ない奴がなんでいままで放置されてるんですか?」


「そりゃこっちから手を出さなければ向こうは手を出さないから」


なるほど。納得。

とはいえ、ドラちゃんがそいつにさらわれた以上は取り戻す以外の選択肢はないか。

不幸中の幸いといってはなんだが、オレ自身は戦闘能力全くないけれど、この二人が手伝ってくれるならなんとかなるかもしれない。

そう思ってフィティスの方を見ると、それで察してくれたのか静かに頷いてくれた。

リリィの方もここまで来たら最後までという顔をしている。

ありがたい。こういう時、冒険者の仲間がいるって本当に助かる。


「それじゃあま、その雪の魔女さんの家にお邪魔しにいくか」

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