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2限目 政治経済

 世間では新年への準備が進められている中、我ら貧乏学園ではごく普通に授業がある。

なので12月29日も僕は学校に行かなければならなかった。

 今日の授業は『政治経済』と『英語』と『数学』と『生物』だ。

今日はその中の『政治経済』の授業を皆さんに見ていただこう。


 政治経済の担当教師は『筈魅礼次先生(通称ハズレ先生)』である。

この先生は変人ではないのだけれど、運の悪さで有名である。

何故かこの先生は教室に来る度に傷を増やしていく気がする。

 一昨日は急な地震で転んで後頭部を教卓の角にぶつけた挙句、チョークの入った箱が先生の顔に落ちてきて、ものの見事に先生の鼻と耳と口にチョークが入った。

鼻と口はわかるが耳なんて普通入りっこないのに入ってしまうところがハズレ先生クオリティである。

 まぁそんな感じですこぶる運が悪いハズレ先生の授業をとくとご覧あれ。




 「起立ー」

と委員長の長谷見が言う。

ちなみに長谷見は比較的普通の人だ。

「礼ー」

「着席ー」

 「はいじゃあ政治経済の授業始めまーす。予習してない奴挙手。ひっぱたくから。容赦なくひっぱたくから挙手」

当然誰も手を挙げない。

「よし、大丈夫なんだな。じゃあまず皆予習で分かっていると思うが今日は株についてのことをやります。まず株の説明からやります」

さて、こっからがこの学校の先生達の暴走だ。

 「どんな事業でもそれを興すには元手となるお金が必要ですね。

例えば、花屋を開業しようと思ったら、お店を借りるための権利金、陳列棚や証明や看板を買い入れる資金が必要ですし、売り物の花を最初に仕入れるためのお金を用意しないと開店出来ません。その元手は誰かから資金援助を受けることが多いです。まぁ店主が全額用意するケースもありますけど。資金援助する人は……」


 さて、この時点で授業は約10分経った。

先生は一切口と手を休めず説明を続けている。右手には4色のチョークを持ち、左手には黒板消しを持っている。

恐らくそろそろハズレ先生に不幸が降り注ぐであろう……


と思った瞬間、先生の真上の電気から蛍光灯が落ちて来て、先生の頭に命中。ちなみに蛍光灯が先生に当たるのはたしか今月で15回目だ。


 「まぁ要するに株とは投資した人の権利を文書の形ではっきり記録したものだ」


 はっきりと無視。

先生の頭が紅に染まる。

生徒は笑いを堪えている。

ここで笑ってしまったら先生の容赦ないビンタが飛んで来るからだ。


 先生の不幸はまだ続く。

校庭では体育の授業で野球が行われている。

カキィン、と金属バットの爽快なホームランの音が鳴り響く。

すると僕らの教室の窓ガラスが割れた。

そして案の定、先生の鼻っ柱に硬球が命中した。


 「すいませーん!」

と校庭から聞こえる。

「気をつけろよー。人に当たったら大変だからなー」

と笑いながら硬球を返すハズレ先生。


 いや、アンタの鼻っ柱に当たったから。ボールクリーンヒットしたから。ホームランだけどヒットしたから。

ていうかせめて窓ガラス割ったことは注意しようぜ。


 「じゃあ猪狩!」

じゃあってなんだよ。何の順接だよ。


「融資と投資の違いを答えてみろ!」


実は予習していない僕は分かる筈もなかった。


「わかりません」

「何だとコラァ!」

鬼のような形相で先生が近付いてくる。恐らく容赦ないビンタを食らわせようとしているのだろう。

だがそこはハズレ先生クオリティである。

僕の席にくるまで12回転んだ。

 そして何とか僕の席まで来たハズレ先生のビンタは痛くも痒くも歯痒くもなかった。だって先生ボロボロだもん。死にかけてるもん。血だらけだもん。


 「あの、アレだ。まぁそういうことだ」

どういうことだ。


「日野!株主の権利を一つ答えろ!」

いや、無茶だろ。だってそれ2ヶ月後にやる範囲だぜ……ってなんで僕は知っているんだ。


「残余財産分配権です」


日野つえぇぇ!


「……お見事」






━━━━━━




 今日は先生の傷はいつもよりは少なめである。

今日は救急車を呼ぶ必要は無さそうだ。


 「起立ー、礼ー」「ありがとうございました」


そして先生は教室を出ようとした。

教室の出口に向かっている最中、先生は転んで額に画鋲が刺さった。


先生の顔は既に真っ赤である。

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