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「爆発令嬢」と蔑まれた化学教師の私、魔力の正体が「化学反応」だと気づいたので断罪を科学的に完全否定させていただきます。〜石鹸から肥料まで、産業革命で自立しますわ〜  作者: あ(いのうえ)
第2章:黄金の泡と学園の支配者

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第5話:ミセルの形成、あるいは乙女の派閥と界面活性剤

 学園入学から二週間。私を「爆発令嬢」と呼ぶ声は、驚くべき速さで別の言葉に置き換わりつつあった。それは、「美肌の賢者ビューティー・プロフェッサー」。


「セリーヌ様!あ、あの、先日の『サボン・ド・アルケミーナ』……また譲っていただけないでしょうか!?」


 休み時間の教室。私の机の周りには、かつて私を遠巻きに眺めていた令嬢たちが、まるで「限定ガチャの行列」のような熱量で集まっていた。中心にいるのは、以前リナと一緒に私を笑っていた伯爵令嬢のベアトリクスだ。今の彼女の肌は、数日前までの「粉を吹いた乾燥肌」が嘘のように、ツヤツヤと光を反射している。


「あら、ベアトリクス様。……効果があったようですね」


「ええ、ええ!あんなに悩んでいた肌荒れが、この石鹸を使っただけで……!これこそ本当の『奇跡』ですわ!」


「いいえ。奇跡ではなく、親水基しんすいき疎水基そすいきによる『界面活性作用』ですわよ」


 私は、特注の黒板(カスピアン製)にさらさらと分子構造式を書き込んだ。


「汚れ(油)を疎水基が包み込み、水に馴染む親水基がそれを引き剥がす。この『ミセル』という構造の形成こそが、洗浄の本質です。……わかりましたか? テストに出ますわよ」


「テ、テスト……?よくわかりませんが、セリーヌ様が神であることは理解しましたわ!」


 ……だめね、この世界の教育レベルでは、まだ私の授業レクチャーは早すぎたかしら。だが、結果は上々だ。  彼女たちは今や、リナの「ふわっとした癒やし」よりも、私の「目に見える美肌効果」に夢中だ。『美は力なり(ビューティー・イズ・パワー)』。この格言を彼女たちは本能で理解している。


 そんな私たちの様子を、教室の隅から忌々しげに睨む視線があった。ユースタス殿下と、瞳に涙を溜めたリナだ。


「セリーヌ!貴様、また怪しげな薬で令嬢たちをたぶらかしているのか!」


「殿下、言葉が過ぎますわ。私はただ、彼女たちの『QOL(生活の質)』を向上させる化学物質を提供しているだけです」


「リナが……リナが、『セリーヌ様のせいで、最近誰も私の祈りを受けてくれない』と泣いているんだぞ! 貴様のやっていることは、聖女の慈悲を金で汚す行為だ!」


 殿下の怒号に、令嬢たちが一瞬ひるむ。だが、私は冷静にティーカップ(これもカスピアン製)を置いた。


「金で汚す、ですか。……殿下、『働かざる者食うべからず』という言葉をご存知?私が彼女たちから頂いているのは、対価としての研究費(軍資金)です。それに、リナ様の『祈り』で、肌の角質層が整うとでも? ……残念ながら、タンパク質の構造は祈りでは変わりませんわ」


「なっ……!この、傲慢な女が!」


「殿下、あまり大声を出すと、ストレスでコルチゾールが分泌されて肌が荒れますわよ?……あぁ、そうそう。リナ様」


 私は、リナの鼻先にスッと指を突き出した。


「最近、少し『肌がくすんで』いませんか?その……あなたが振りまいている『聖なる光』。魔力を乱用しすぎて、体内の抗酸化物質が枯渇しているんじゃないかしら。……『無理しやがって……』と、細胞たちが泣いていますわよ」


「うっ……!あ、あぅ……」


 リナは絶句し、殿下の胸に顔を埋めて泣き出した。教室内の空気は、完全に私側に傾いている。令嬢たちの視線は、「泣くだけの聖女」よりも「肌を救ってくれる賢者」を支持していた。


 放課後。私は、地下の秘密ラボ(カスピアンの工房の隣)で、溜まった銀貨を数えていた。


「くく……。あくどいねぇ、セリーヌ。令嬢たちの虚栄心を煽って研究費を搾り取るとは。君、本当は悪役令嬢じゃなくて、『死の商人』の才能があるんじゃないかい?」


「失礼ね、カスピアン。これは正当な経済活動よ。……それに、この資金があれば、いよいよ次の段階に進めるわ」


 私は、試験管の中で怪しく光る「緑色の液体」を見つめた。


「空中窒素固定法……。この国の食糧問題を根本から解決する『魔法の粉(化学肥料)』の錬成よ。……『計画通り』に進めば、断罪の日までに、私はこの国の食糧供給ライフラインを握ることになるわ」


「……君を敵に回さなくて本当に良かったよ。さあ、次はどんな『奇跡(化学反応)』を見せてくれるんだい?」


 私は、新しい防護ゴーグルを装着した。


「次は……少し大きな爆発が必要になるわね。……もちろん、平和のための『爆発(反応)』よ」


 セリーヌ・フォン・アルケミーナ。彼女の「石鹸革命」は、まだ序章に過ぎなかった。一方、ユースタス殿下とリナは、自分たちの権威が「石鹸ひとつ」によって浸食されていることに、まだ気づいていなかった。


「お前たちの次のセリフは、『セリーヌにひざまずけ!』だ」


私は心の中で、未来の彼らに向けて予言を呟いた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

本作品はAIの支援を借りつつ、皆様がワクワクするようなお話を作って行っております。

続きを読んで「面白い」「また読みたい」と思っていただけたら、

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