核弾
怪物は地上を見下ろした。何台もの戦車が大砲の先を怪物に向けている。戦車が砲弾を発射し、怪物は爆煙に包まれた。何機ものヘリコプターが飛んできて、機関銃で怪物を攻撃した。
しかし、抵抗は全く無意味だった。
地が裂け、溶岩が吹き出した。戦車は溶岩に飲み込まれ、消えていった。
噴火のような爆発が瓦礫を飛ばした。ヘリコプターはその瓦礫に当たって墜落した。
怪物が煙の中から姿を現した。背中の帆が青く発光している。
1機のヘリコプターが鈴木たちの近くに着陸した。中から兵士が3人を呼ぶ。
「早く乗って!」
3人はヘリコプターに乗り込んだ。ドアが閉まり、プロペラが回転する。
「怪我はないか?」
兵士が言った。
「はい……」
鈴木はそう答え、怪物のほうを見た。町の中心の方を向いている。口を開け、何かを狙っているように見えた。
「なんなんだよ、あれ」
岡島が呟いた。ヘリコプターは町の中心とは逆、海の方向に向かった。
「……10年前」
兵士が言った。
「とある町を滅ぼした怪獣だ」
3人はその怪獣を見た。怪獣は口から青白い弾を吐き出した。
放たれた弾は町の中心に落ち、核爆発を起こした。青い光がモス・シティを包み込み、焼き焦がし、爆風が全てを破壊しつくした。
鈴木たちが乗っていたヘリコプターも爆風によってバランスを崩したが、なんとか持ちこたえた。
「大丈夫か?」
兵士が鈴木たちに呼びかけた。しかし、3人は町を見て呆然としていた。
怪物は咆哮を上げ、足を踏み鳴らした。溶岩が何もなくなったモス・シティを覆った。
大地が崩れ、生命が消え、空が見えなくなる。
突然現れた"それ"は、モス・シティの全てを壊した。
町も、生命も、全て。
何故現れたのか、何故壊したのか。
それは誰にも分からなかった。
怪獣がヘリコプターを見た。鈴木は叫んだ。
「許さない、絶対に!」
怪獣は溶岩に覆われた町を眺めた。
「僕たちが何をしたっていうんだ!なんでこんな目に遭わないといけないんだ!」
怪物が口を大きく開けた。光が集まっていく。
「絶対に許さない!」
怪獣は咆哮を上げ、弾を吐いた。




