地は揺れ、大地は裂け
ショッピングモール
ゲームセンターはとあるショッピングモールの2階にある。2階には他にも多数のテナントがあり、大勢の客で賑わっている。
「ちょっと買い物していかない?」
高野が2人に声をかけた。
「いいぜ」
岡島が返事をする。
「あ、僕も買いたい物があるんだ」
鈴木も行きたいようだ。
3人はエスカレーターに向かい、1階に移動しようとした。その途中で事件が起こった。
突然、3人の携帯電話から警報が鳴り響いた。
「え、何?」
高野は驚き、携帯電話を手に取る。鈴木も自分の携帯電話の画面を見た。
『巨大生物襲来。直ちに安全な場所に避難』
「なんだこれ?」
岡島も、自分の携帯電話を見る。
「巨大生物……?」
鈴木は呟いた。
「どうする?」
岡島が尋ねる。
「と、とにかく、逃げないと駄目……」
高野が言い終わる前に、ショッピングモール全体に警報が鳴り響いた。ショッピングモールだけではない。町中、空襲警報のような警報が鳴っている。
「おい、ヤバいんじゃねーの?」
岡島が慌てた声を上げる。
「こ、怖い……」
高野は怯えている。鈴木は近くの窓を見た。窓の外に、何かが動いているのが見える。
「あ、あれ……」
鈴木は、窓の外にいる、巨大な生物を指差した。
海から、山のような巨体の、4本足の生物が現れた。岩のような鱗に覆われた体、背中にいくつも並んだ帆。炎のような赤い目がギラギラと光っている。
「な、なんだあれ……」
岡島が呟く。生物が咆哮を上げた。3人は耳を塞いだ。周りの空気が振動している。生物は、ショッピングモールに向かって進みだした。
「お、おい!こっちくるぞ!?」
岡島が叫ぶ。
「逃げよう」
鈴木が叫んだ。3人は駆け出した。その時、生物が片方の前足を上げた。赤く光っている。そして、持ち上げた前足を地面に振り下ろし、叩き付けた。前足から地面にエネルギーが放たれ、モス・シティ全体が地震に襲われた。
「伏せろ!」
鈴木が叫んだ。3人は床に伏せる。
「何が起きてんだよ!」
岡島が叫んだ。3人は床に伏せながら、揺れがおさまるのを待った。しかし生物は何度も前足を振り下ろしている。建物が崩れ、地割れが出来ている。
生物は咆哮を上げた。その時、ヘリコプターが飛んできた。機関銃が装備されている。生物は動きを止め、ヘリコプターを見た。
ヘリコプターは生物の顔に照準を合わせ、機関銃を撃つ。無数の銃弾が生物の顔に命中した。しかし、生物は全く怯まない。何機ものヘリコプターが機関銃を撃ったが、全く効いていなかった。全て鱗が跳ね返していた。
「揺れが……」
高野は揺れが小さくなっていくのに気が付いた。
「今のうちに逃げよう」
鈴木は、岡島と高野に呼びかけた。3人は立ち上がろうとした。しかし、再び揺れ始めた。
「嘘だろ、またかよ!」
岡島が叫ぶ。3人は伏せた。今度は長く続いている。
生物は指を地面に差し込んでいた。赤い光が地中に吸い込まれていった。
地震で出来た地割れから、赤い光が漏れている。次の瞬間、溶岩が吹き出し、火山噴火のような爆発が起きた。
「は……?」
岡島は窓の外を見て、呆然とした。鈴木と高野も固まっている。
ヘリコプターは爆発によって吹き飛ばされた岩や建物によって撃墜され、地面に落ちて爆発した。
怪物が咆哮を上げ、歩き出した。