不思議ちゃんの冒険8
「……きみは、どっかエエとこの子なの?」
アリスの目がキラリと光ります。
「おじさん……」
「え、は、はいっ!」
「それって、あたしにボケ期待してるんじゃないわよね……あの偉大な芸人さんの鉄板ネタの……」
ジャンさんは口笛を吹いて、ごまかそうとします。どうやらアリスの勘は当たってたようです。
「おじさん、あたし責めてると思う? あたしこんなに気取ってるけど、偉大な逢坂のお笑い文化は、理解してるつもりよ。学校の授業でもやったし……。だから、あたしボケるからちゃんと聞いてて」
アリスはカワイイ顔を、一気にしかめて自信満々に言い放ちました。
「だれがエテコの子やねんっ!!」
それとほとんど同時に、ジャンさんのコケも美しく決まります。
ジャックは残念ながら2人の世界が分からないようで……おどおどして見ています。
「アリス」
「ジャンさん」
2人の目が輝きます。
「よし、きみとは意外にも波長が合いそうだから、お昼ごちそうしよう!」
アリスがカワイイ笑顔になります。
「お昼作るの手伝おうか? ジャンさん」
ジャックは会話からぽつんと取り残されてます。
(……アリスが自分からお手伝い? おかしいなぁ、そんなキャラじゃないはずなのに……)
ジャックの頭にふっとある言葉が浮かびました。
(……オヤジキラー……)
つづく