不思議ちゃんの冒険7
「立てるか、ベルナール」
ジャンさんがアリスの横でジャックを抱き起こそうとします。
「う、うん……。駄目みたい」
見てて情けなくなったアリスが、2人に向かって言い放ちます。
「2人ともまったく! ジャック、甘えてないで立ちなさい! ほら早く! それにジャンさん! なんですかぁ! さっきっからジャックのことベルナールって言い続けて。ジャンさんって頑固なんですね! あなた相手が子供だからって失礼ですよ」
アリスの声に、床(『とこ』じゃなく『ゆか』!)にいる2人がおびえます。
「お嬢さん、かなりツンなんだね……。ジャ、ジャック、そろそろ立てるか?」
「う、うん……、もう大丈夫だよ~w」
アリスがテーブルからジャックを見下ろして冷たく言います。
「だったら早く立ちなさいよ。……ほら大丈夫なんじゃん。あたしの裏拳がまるで効きすぎみたいにして……デリカシーないわよ、まったく」
ジャックはそろそろと椅子に座って、またジュースを飲み出します。
ジャンさんはアリスのことを引いた顔で見ながら、何か話題を作ろうと、考えてるようです。
「あの、アリス」
ジャンさんが思い付いたように言います。
「そういえばきみはこのあたりに見かけない子だね。服装もジャック、そうジャックの友達にしては、かなりいいし。きみは、どっかエエとこの子なの?」
アリスの目がキラリと光ります。
「おじさん……」
「え、は、はいっ!」
つづく