不思議ちゃんの冒険40
……テーブルに乗せられた手紙……それはざっと300枚……すべてがアリスあての非難文。
ベルナールはアリスの急変に悩みながら、いまだに彼女を理解しようとしていた。だってまだ数週間しかたってない新婚なのだから……。
ベルナールが目を通す。
手紙のほとんどはご祝儀を返還するよう求める文で締めくくられている。
(人としてありえないとか、時間を返せとか言っといて最後は結局カネなのかよ、みんな……)
ベルナールも情けなくなってくる。『カネ』の2文字の前に、彼の愛もまた冷えてきていた。
(アリスもこんな気持ちなんだろーな)
手紙の1枚が彼の手から落ちる。
なにげなく拾い上げるベルナール。
(……これは復讐です。アリスさんによろしくお伝えください。故ダルトン守護精霊リオ……)
ベルナールの手がぶるぶる震え出す。膝に力が入らない……。
「う、うわーっ! 精霊の恨みが原因なのか…」
ベルナールの脳裏をよぎるリオの子供らしい顔と姿……ほんとによく知ってるダルトンの守護精霊だった。あの子が……。
(どーすりゃいいんだ、元守護精霊を相手に……勝ち目はない。自分だけじゃ……)
戦士アールの最期を思い出す。
(つうか、リオはアリスの守護精霊たちが無力化したって聞いたのに、……なんだこの手紙は……)
ベルナールに悪寒が走った。
つづく