不思議ちゃんの冒険38
アリスの様子に気づいたミント。組んでる腕を自分のほうへ引き寄せる……。
「分かったお姉ちゃん。でも今はちょっと……」
承知のうえで、アリスにささやいて普通を装うミント。
あともう少し、その女の子の精霊リオが攻撃性を示していたら……きっと反射的にアリスの右手が霊剣を出してたに違いない。
「今は落ち着くの。いい? お姉ちゃん」
ミントのほうが姉みたいに、しっかりアリスのことをベルナールに渡す。
誓いの式が始まる。
その前で、アリスの守護精霊たちがリオの座ってるとこをさりげなく取り囲んだ。
「ごめんなさい、ここいさせていただきます」
次々に席を譲る周囲の招待客。アリスの守護精霊と知っての気づかいだった。
彼女らに囲まれたリオ……「ふふっ」
「協約違反だ、リオ。第25条によってお前を直ちに無力化する」
子供らしい声で、周りに気をつかって小さく宣告するアリスの守護精霊たち。
リオの目が、なぜかこの場になってもまだ薄笑いしてる。
「開始」
アリスの守護精霊たちが無抵抗な精霊リオの霊力を抜き取っていく。
静かに進められる作業。
壇上では、お互いの誓いが終わって指輪贈呈とキスに入るとこだった。
「いいでしょ……リオは消えてってるわ」
アリスの守護精霊たちが『かわいいエージェント』になって、リオのことを消そうとしてる。
「完了」
それは不気味な響きだった……。
「 」
つづく