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不思議ちゃんの冒険35
――灰白色の施設の庭にびっしり敷き詰められたタイル……その小片の一つ一つが戦士の墓石の代わりをしていて……最近死んだことを記すアール、クアドラン、オーウェン、ダルトンの名がー―。
「う、うーっ」
あちこちで聞こえてくる嗚咽、すすり泣き。
タイルの上に立って涙を流す人たち、そして元守護精霊……
「あたしは、ダルトンさんを殺したアリスを許さない。……許さない。たとえそれが『守護精霊協約』に違反してても!!」
一人の女の子の精霊、リオ……。憎しみで眉間にシワが刻まれている。
「許さない、アリス。そして彼女を守る者たちすべて……」
リオの指が慕うようにダルトンの碑銘をなぞる。
(あたし、ダルトンさんを愛してた。ほんとは人間に生まれて、女として彼を愛し子供が欲しかった)
考えながらリオの中で広がる罪悪感……守護精霊の禁則事項を破っていることの恐怖。
「いいわ。決めた。やる」
つづく