不思議ちゃんの冒険34
「愛してるの? 私を」
アリスに頷くベルナール。
「ああ、もちろん」
……
「もちろん。ぼくはきみを愛してる。ミント」
暗黒の中に、泣き崩れるセラフィム卿と一点にささやいているルシファーの姿……。
「ミント、ぼくはきみのパパと契約したんだ。ぼくの愛できみを救うとね。だからミント、ぼくの愛を受けて戻って」
言い終わったその瞬間、暗黒の一点に収縮するルシファー。(……温かい暗黒と羊水だ)
それに合わせるように、卿が大声で泣き叫ぶ。
「私は、私はなんということをしたのだ!!」
……
「おい、あれ見ろ!」
霊獣の形にできてる暗黒――結界の破れ――の上の、子供形の暗黒が急に『成長していく』。
すぐに10代後半ぐらいのシルエットになって止まる。
見上げる人々に映った次の光景……
少女形の暗黒――結界の破れ――が物質の姿を取り戻していく。
そして霊獣形の暗黒を伝って彼らのとこに降りてきた。
「みなさん、アタシはミント、セラフィム卿の末娘です」
人々の驚愕して固まった顔……。
16才くらいに成長した美少女ミントがたたずんでる。
「だれか、妊娠したこのアタシをお世話してください!」
無言の観衆。(……)
「お願いです!」
そこへ向こうのほうから、珍しく彼女と同じ年くらいの精霊がやってきた。
「ミント!」
「……エトス? エトスね!」
その精霊は、外見は大きかったが、まぎれもなくミントの守護精霊エトスだった。
「ミントさん。あなたを守るためにこの姿で戻りました」
彼女のお腹を優しく撫でて、顔を赤くするエトス。
ミントの母性的な笑み。
「愛してる。あなたを」
つづく