不思議ちゃんの冒険29
帰ってきた戦士の1人、オーウェンがダルトンの口をふさぐ。
耳元にささやくオーウェン……。
「今は……今はとにかく言い方に気を付けてくれ。分かるよな?」
彼の語気の圧力……。
アリスが――いや正確に言えばセラフィム卿が、ダルトンの言葉に「うなり声」を上げる。……それは人のものではなく、まるでハイエナみたいな……。
「アーィ、アーィ」
やっぱ悪霊のせいなのか……。
「そうだよ!! ミントはオーウェンたちが『消した』。おれは止められずにただ見てた……。悲しけりゃそうやって鳴けよ!! よく似合ってるよ、その声」
すでに限界だったダルトンがこわれる。
鳴き声を真似て、卿と一緒に『鳴く』。
「やばっ……。やばいよオーウェン、この部屋出よう」
そんな彼らに注がれるベルナールと爺の凍りついた視線……。
「くそっ! この連中どうかしてる! 行くぞオーウェン!!」
「たしかに……ひどい……」
悪霊のせいなのか、魂を取られたようにオーウェンがつぶやいた。
「お前ら、話は終わってない」
突然立って、口を閉じたままオーウェンたちに掴みかかってくるアリス。体からは父の声が響く……。
「あ! っ」
つづく