不思議ちゃんの冒険23
ミントの語りかける先に、華奢で優しそうな超美少年が現れる。
霊獸の上で一緒に座る彼ら。
「ルシファーね。あなたを見るの初めて。……もっと怖いと……。意外」
ミントが彼の顔をまじまじと見る。
「驚いた? 『悪霊』のイメージと違いすぎててw」
ミントが大きく頷く。顔が赤くなってる。
「君は、ミント。戦士。とっても元気なんだよね、ほんとは。でも、ぼくがきみのこと守護精霊つながりで支配したばっかりに、こんなに温和しくなっちゃって。ごめんね」
美少年の顔が困ったように笑う。ミントの顔が熱くなる。……初恋?
「ううん。あなたといると心が落ち着く。だから、だよ」
ミントの中でさっきのことが蘇って、涙がまた出てくる。あの悲しみ、自分が怖がられているつらさ。(アタシはただ、弱いルシファーを戦士だから守っただけ。これからも守る、誰と戦うことになったって……)
ミントが、ルシファーに憑かれる前よりも、しっかりして見えた。
「おい、今がチャンスじゃないのか? 戦士のみなさん」
戦意を完全に喪失してるダルトンたちに、壮年の商工会長が訊いてくる。
「なんだ!? そのザマは!! 戦えないお前たちなんか戦士と呼べるか!! 今日のこと、責任持って償ってもらいます。これがご縁で、今後お付き合いも長くなりそうですからね」
エゴまる出しの会長が、まるで「悪魔のように」笑った。
「あはははは! 今日はおかげで、おいしいお得意さまができた!」
霊獣の上では、ミントの胸に顔を寄せて、美少年ルシファーが安心する。
「ありがとう」
つづく