不思議ちゃんの冒険21
「……守護精霊たちも、もちろん悪霊と一緒で……、もう一人はミントさまと兼務でして――」
……
同じ日、町の商工会で依頼された「地産うまいもの物産展」の警備にあたるミントたち。
「これ、やっぱあたしたちには役不足よ。……わざわざ戦士を雇わなくってもいいじゃない、こんなとこ……。霊獸なんか来やしないって。結界あるし」
ミントが愚痴りながら、ちゃっかり「星うどん」をすすってる。
「さあさあ、どうぞ遠慮なさらず。戦士のみなさま!」
さっきから警備のミントたちに媚びまくる主催者の会長。彼にしたら、これがきっかけで、戦士階級という安定的な顧客を、捕まえられるかもしれないのだった。
「ねえ、エトス。あんたは精霊だから食べないし。マジでいる意味ないじゃんねwwエトス?」
ミントが口の中でうどんをはぐはぐさせながら見る。
側で笑う仲間たち。
「ねえ、エトス! 聞いてんのぉ! あるじの言うこと!!」
守護精霊エトスはさっきまでと違って、なんにも言わなかった。いつもミントには必ず口答えするのに……。
「エトス、……なに具合悪いの? ちゃんとあるじのあたしを見て言いなさいっ!!」
笑っていた仲間のうち、クアドランが異変に気づく。
「ミントあぶない!! そいつから離れて!」
ギクッとする彼女。突然そう言われると却って動けなくなる。
エトスの体が急に「暗く」なっていき、輪郭だけ残る。
「な、なにあんた!? そんな術使って……」
さすがに泣き出したミント。幼い顔を涙でグシャグシャにする。
「ヤバっ、……遅かった」
クアドランの不気味な言葉と同時に、エトスの形にできてる闇から巨大霊獸が抜けて出ようとする。
「悪霊が……、結界を破った……」
エトスの輪郭が霊獸に押し広げられて膨張し、突き破られる……
「エトス……?、やだ、やだよーっ!! もうやめてよーっ!!」
クアドランの手と霊獸のカギ爪がほとんど同時にミントに伸びた……
つづく