不思議ちゃんの冒険17
戦士アールが守護精霊を出すのを、頑なに拒んでいるのを見るヤンキー精霊たち。
「え? 自分だけで充分とか思ってます? もしかしてあんたも、自分の守護精霊のこと信じられないとか……」
彼らのうちの一人、レンが急にマジな顔になる。
「そーゆーの1番ムカつくんだよねー、『守護精霊って、結局子供だから』みたいな」
アールの右手が霊剣を出そうとして躊躇う。
警戒しながらあることに気づいたアール。
(そっか、こいつら守護精霊のドロップアウトなのに、彼らよりずっと成長して見えるのは、心に傷を負ってムリしてるからなんだ)
レンの姿は、もう15歳くらいで普通の守護精霊よりずっと年上にみえる。他の奴らもそうだった。
アールの手が止まる。やっぱ霊剣は出さない……。
「ムリだ! アール!」
彼の態度に完全にキレるレン。
「俺のクソ主とおんなじじゃねーか! なめてんじゃねーっ!」
ヤンキー精霊レンの攻撃が始まった。
――アールの視界から彼が消える――
――と同時にアールの意識が途切れ途切れになる――
――遠くに聞こえてるアリスと仲間たちの叫び――
――そして急に広がる光と花畑――
――疲れたアールはそのなかにダイブして――
――安らぐ。「なんだ、全然悪くないじゃん、あのヤンキー精霊くん。とゆうか却って気持ちいいし」――
夜の街頭に転がるアールの冷たい体……。
その表情は安らぎに満ちていた。
「……アール? アールっ!!」
つづく