不思議ちゃんの冒険16
夜、マンションを出てアリスと仲間のうち3人がメインストリートを探検する。
「やっぱ田舎町だなー。遊べるとこなんかほとんどねぇーし」
ダルトンが吐き捨てるように言う。その手をしっかり握る女の子の守護精霊ミオとリオ。
「お前いつのまに2人を出したんだ? まあ姿は子供でもヒトじゃないわけだから、夜連れても問題ないんだろうが……」
尋ねたアールは守護精霊を出さないでいた。やはりその外見を考えてのことらしい。
「なによアール。精霊の力を信用してないの?」
リオの子供らしい甲高い声が響く。
「あたしたちのダルトンさんなんか、キャラはチャラいけどちゃんと信じてくれるよ」
「へへ、だってさww! こいつら俺のファンってわけーwww」
呆れるアール。そしてふと、あるものが――目に留まる。
「精霊? あ、ちがう、――『ヤンキー精霊』」
夜の町が似合ってる彼ら。関わればかなりの戦士でも危ない存在だった。
「なんっすか?」
彼らがアールに目をつけて寄ってくる。
「べ、べつに……」
アールほどの戦士も緊張を隠せない。
「あれー、なんか具合悪そうですね、戦士さまwwwよろしかったら私たち精霊が面倒見ますよ……ってセリフ、言っちゃったよお俺www」
ヤンキー精霊たちの爆笑。
「アール、お前じゃムリだ……守護精霊を出せ、おいアール」
ダルトンのチャラさが全くなくなってる。事態の深刻さが却ってはっきりする。
「俺は、呼ばない」
ダルトンと仲間たち全員が思わず息を飲んだ。
「えっ」
つづく