不思議ちゃんの冒険14
「ここが俺たちの当分いるとこだ」
戦士クアドランがアリスたちに一件の中層マンションを指し示す。
エントランスにはセキュリティーがしっかり施されていて、彼らのような流浪の者など入り込む余地もないように見える。
「ムリじゃね? 中に知り合いでもいんの?」
ダルトンが顎を突き上げて、クアドランを見る。
「心配するな。俺たちは戦士階級だ。不審者の類いじゃないだろ」
アリスがエントランスを見ながら訊く。
「関係ない、戦士の身分など……私たちは、知らない者の町では不審者と変わりない。クアドランどうする気だ」
彼の青い瞳が光る。
「簡単だよ。俺たちが戦士階級であることを機械に分からせてやるだけさ」
アリスの不安げな目。他の戦士たちも「それはありえない」という顔――。
「俺はやるよ」
一人だけ認証機の前に行くクアドラン。
腰に帯びた霊剣を抜き、認証カメラの前で構える。
そのまま1分ほどがたち……、ドアが開いた。
「マ、マジで……」
「意味分からない」とゆう顔をして、しゃべりながら入っていく戦士たち。
「クアドラン、今のあれは?」
アリスが好奇心を抑えてクールに尋ねる。
「霊剣認証さ。最近の機械はできるようになってる。驚いただろ? 俺が『実力』で、戦士であることを証明すると思ったんだろうが……」
クアドランのニヒルな笑い。
「私の霊剣でもできるということか」
機械音痴なのを隠して、アリスはわざとクールな戦士を気取った。
つづく