不思議ちゃんの冒険13
アリスたちが草原を抜けて田舎町にやって来る。
「ここならちゃんと結界ができてるから安心だ。しばらくはこの町に身を置こう」
午後の光を受けて町のメインストリートを歩く戦士たち。その後を守護精霊たちが続く。
「アタシのアリスさんは強くてマジヤバいんだから。エトスのミントさんは?」
男の子の守護精霊エトスが吹きそうになる。
「ミント? さっき見ただろーあのへなちょこな剣。うるさくてわがままなだけのただのガキさ。戦士なんて言えたもんじゃない」
「そう……。エトスは大変だね。へなちょこさん守んなきゃならなくって」
戦士たちの後ろなので聞こえないと思ってる守護精霊たち。
「うん、そうだよハハハハハ!」
セナが慌ててエトスの口を押さえた。
「なに笑ってんのぉー。どうせろくなことじゃないでしょ?」
ミントだった。
「い、いてーなぁ! 耳放せよ!」
「ふん! 守護精霊のくせに。あたしと歩きなさい。精霊同士だと、なに言ってんだか分かりゃしない!」
ミントが耳を引っ張ってエトスを前に連れ出す。
「おいミント。そんな乱暴しちゃ守護精霊に悪いよ。守ってくれなくなっちゃうぞ!」
戦士の一人、アールが冗談まじりで言う。
戦士たちに起こる笑い。
「いいもん、こんなの。生意気だから、あたしが主人なの分からせるのよ」
ミントのまだ幼い声が言うセリフに、みんなウケた。
つづく