不思議ちゃんの冒険10
それから約20分後……。
「どう、料理のほうは? ウサギ肉のソテー、初めて?」
ジャンさんの和やかな質問に、アリスはナイフとフォークを動かしながら答えます。
「うん、初めて。やわらかくっておいしい。ジャンさん、このハーブなんていうの?」
アリスは、いい香りに目を閉じます。
「それはオレガノ。気に入った?」
ジャンさんはアリスに微笑むと、自分の隣りにいるジャックに、肉切れをフォークで運んで食べさせます。
「ジャック、おいしいだろ? 欲しかったら言ってくれよ。おれが口に運んであげるから」
ジャックは両手を包帯でぐるぐるに巻かれています。
「ありがとう、ジャンさん」
アリスの目線が、時々ジャックの手に行きます。
「ジャック、それじゃ困るでしょ、これから」
ジャックは偉い少年です。もとはと言えばアリスのせいなのに、ひとごとのような彼女の言葉にもキレたりしないのです。
「うん。でも家族とか友達が、いつもより優しくしてくれると思う。ケガするとみんなそうしてくれるもんなんだ」
アリスはそんなジャックを見つめます。
「友達のあたしにも優しくしてもらいたい?」
「え、うん」
アリスのフォークが向かいからヒュッと伸びてきます。今度は何の責め技だろうと、ジャックは緊張しまくりますが……。
「ほうジャック! よかったなぁー、アリスはほんとは優しくて」
ジャンさんが、アリスのフォークから肉を食べているジャックを冷やかします。
「カップル成立ーっ?」
ジャックが口にしたフォークを、べつに気にせず使うアリス。
でも、あれ……顔を赤くして……アリスw♪♪♪
つづく